2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K11026
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
高瀬 佳苗 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (20455009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲毛 映子 医療創生大学, 看護学部, 准教授 (00315673)
中野 裕紀 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (10736721)
丸谷 美紀 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (50442075)
川島 理恵 福島県立医科大学, 看護学部, 講師 (90336470)
蓬田 美保 福島県立医科大学, 看護学部, 助手 (90895450)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高齢者 / 災害 / 健康管理 / 危機管理 / 能力 / 測定尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は, まず, 系統的な文献検索を行い, 高齢者の災害時の健康危機管理の概念を検討した。その系統的な文献検索では, 国内47文献, 国外13文献を分析の対象とした。その結果, 国内外の文献を合わせて, 高齢者の災害時の健康危機管理の概念の先行研究は見当たらなかった。加えて, 日本では健康危機管理の用語が行政用語として使用されており, 国内外を合わせた60文献のうち1つの文献でのみ, 人びとが災害など健康を脅かす機会に遭遇した際の健康管理に「危機管理」の用語を用いることを検討すべきだと述べられている。これらの文献検索の内容を共同研究者と吟味をし, 本研究では, 被災経験のある高齢者のインタビューから帰納的に災害時の健康危機管理の概念を明らかにし, 研究全体を通してこれを議論し結論を導くことにした。 そして, 被災経験のある高齢者17人を対象とした半構成的面接を用いたインタビュー調査を行い, 災害時の高齢者の行動特性から, 健康の危機に直面した時, 健康を脅かす危機に遭遇した時の高齢者の健康管理の特徴を分析した。分析では, インタビューの逐語録を作成し, 高齢者が健康を害さないようにとった行動に着目しながら, 語りを短い文で抜き出してコードとした。その後, 類似したコードを集めてまとまりを作り, 最終的に, 健康を脅かす危機を心理的にかわす行動, 健康を脅かす危機に対抗する行動, 健康危機を乗り越える行動が生成された。 次年度は, これらから高齢者の災害時の健康危機管理能力の尺度原案を作成し, 事前調査, 複数回のプレテスト, 予備調査を行い, 尺度項目を作りあげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の助成が決定してから所属の倫理審査を申請し, 審査結果が通知されたのが2021年12月中旬であったため, データ収集と分析に進むまでに時間を費やしてしまった。大幅に遅れてはいないが, 当初の研究計画からは後ろに位置していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は, 昨年度の被災経験のある高齢者のインタビュー調査から帰納的に抽出した災害時の健康危機管理の概念をもとに, 高齢者が健康の危機に直面した時や健康を脅かす危機に遭遇した時の健康管理の能力として, 災害時の健康危機管理能力尺度の原案を作成し, 事前調査, 複数回のプレテスト, 予備調査を行い, 尺度項目を作成する予定である。 昨年度の高齢者のインタビュー調査では, COVID-19感染症流行の影響を受けて, 調査対象者の把握までに時間を要したので, 本年度は, これを念頭に置きながら調査協力者の確保を進めたい。また, 所属での倫理審査では, かなりの時間を要するので, 共同研究者らとの会議では, これに速やかに申請できるように効果的な議論を展開し, 研究を計画的に遂行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度の研究会議は, 当初対面で行う予定であり, それを前提に旅費を計上していた。また, 研究補助者の雇用も計画していた。しかし, COVID-19感染症の流行の影響を受けて, 対面の会議から遠隔の会議に変更したこと, 研究補助者を雇用できなかったこと, この2点から次年度使用額が発生している。
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