2021 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアを基盤とする介護者の「社会的孤立予防プログラム」の開発
Project/Area Number |
21K11071
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
永井 眞由美 安田女子大学, 看護学部, 教授 (10274060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗正 みゆき 福岡大学, 医学部, 准教授 (40309993)
堀井 利江 安田女子大学, 看護学部, 助教 (70846831)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 介護者 / 社会的孤立 / 予防プログラム / 地域包括ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:介護者における社会的孤立の実態とその関連要因を明らかにすることを目的とした。 研究方法:A県の全居宅介護支援事業所851か所を利用している在宅高齢者の介護者851名を対象として、郵送による無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容は、介護者の基本属性、主観的健康観、外出能力、視力、聴力、経済状況、社会的孤立、ソーシャル・サポート(一緒にいてほっとする人、用事を頼める人、寝込んだとき看病をしてくれる人、緊急時に来てくれる人の4項目)、介護負担感(日本語版Zarit介護負担尺度短縮版(J-ZBI_8)、及び被介護者の基本属性、要介護度、認知症の有無等であった。社会的孤立の基準は、斎藤ら(2010)の報告による「別居家族・親戚」と「友人・近所の人」との対面・非対面による接触頻度(4段階)のいずれもが「週1回未満」であることとした。本研究は、研究分担者の所属する大学の研究倫理委員会の承認を得て実施した。 結果:調査票の回収数は246名(回収率28.9%)であり、記載不備等を除いた212名(有効回答率86.2%)を分析対象とした。介護者の平均年齢は66.9±11.5歳、性別は男性44名(20.8%)、女性168名(79.2%)であった。社会的孤立の基準に該当する者は、29.7%であった。社会的孤立の有無と関連項目をχ2検定で分析した結果、経済状況、ソーシャル・サポート、家族や友人の行き来に対する満足感において統計的有意差(p<0.05)が認められた。介護者の特性、被介護者の特性について有意差は認められなかった。今後、さらにデータ分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「介護者における社会的孤立の実態とその関連要因」を明らかにすることを目的として、当初の計画通りA県の居宅介護支援事業所利用者の介護者851名に、郵送式無記名自記式質問紙調査を実施することができた。今後、さらにデータ分析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、介護者の社会的孤立を予防するために、在宅ケア従事者のための『社会的孤立予防プログラム』を開発することを目的としている。 2022年度の研究目的:介護者の社会的孤立において効果的な支援内容を見出し、「社会的孤立予防プログラム」を作成する。 研究方法:A市の地域包括支援センターに所属する保健師で、過去3年以内に介護者の社会的孤立予防に関わった経験を有する者20名程度を対象に半構成的面接調査を実施する。調査内容は、保健師の基本属性、保健師が関わった対象の特性、対象把握のきっかけ、社会的孤立と認識した理由、対象への関わりの経過、問題解決のために行った支援内容、孤立状況改善までのプロセス等である。面接内容は、対象者の了解を得て録音する。録音内容から逐語録を作成し、効果的な支援に関する内容を抽出し、質的記述的方法により分析する。その結果をもとに、在宅ケア従事者が地域で高齢者を介護している介護者の社会的孤立を予防・改善するための「社会的孤立予防プログラム」を作成する。
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Causes of Carryover |
2021年度はA県の全居宅介護支援所へ介護者に対する調査票を郵送した。調査票の返送期限が3月末であったこと、居宅支援事業所がコロナ禍で多忙な時期に調査協力依頼をしたこと、また、回答者が高齢介護者であることなどから、調査票の回収率が30%程度となったため、郵送費が予定より低額となった。また、コロナ禍で現地での学会発表を控えたため、旅費が不要となった。次年度は、コロナ禍でもできるだけ研究を受入れてもらえるように現場とより綿密な事前打ち合わせを行う必要があり、残額はその費用として活用する予定である。
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