2023 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアを基盤とする介護者の「社会的孤立予防プログラム」の開発
Project/Area Number |
21K11071
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
永井 眞由美 安田女子大学, 看護学部, 教授 (10274060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗正 みゆき 福岡大学, 医学部, 准教授 (40309993) [Withdrawn]
堀井 利江 安田女子大学, 看護学部, 助教 (70846831) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 介護者 / 社会的孤立 / 看護職 / 地域包括支援センター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、在宅で介護をしている介護者の社会的孤立を予防するために、在宅ケア従事者のための「社会的孤立予防プログラム」を開発することを最終目的としている。2023年度は、プログラム作成の基礎データを得るため、2022年度の研究を継続し、社会的孤立予防が必要な介護者への看護職の支援内容を明らかにすることを目的として地域包括支援センターの看護職に半構成的面接調査を行った。 研究方法:A市の地域包括支援センターに所属し、介護者の社会的孤立予防に関わった経験を有する看護職4名に半構成的面接調査を実施した。調査内容は、対象者の基本属性、対象者が社会的孤立予防に関わった事例の特性、関わりのきっかけ、社会的孤立と認識した理由、関わりの経過と支援内容、支援による事例の変化であった。社会的孤立予防に効果的な支援内容を質的記述的研究法により分析し、カテゴリー化した。 結果:2022年度、2023年度で計9名分のデータを得た。データ分析の結果、看護職の社会的孤立予防に関する支援内容として、「社会的孤立の可能性のある介護者を発見する」、「家族関係のなかに潜む孤立の可能性を見極める」、「介護者の心が閉ざされないようにかかわり信頼関係を築く」、「被介護者を危機的状況から守り介護者が安心できる医療・介護体制を整える」、「社会的孤立の発生要因を取り除き介護力を高める」、「介護者を交流の場につなぎ社会参加を促す」、「地域における社会的孤立予防の基盤をつくる」のカテゴリーが抽出された。支援の結果、介護者が安心して生活できる、就職や在宅介護が継続できる、介護経験者としての体験を語る、サービス関係者との関係が築かれる、地域活動に参加する、などの変化が認められた。この面接調査の結果と文献をもとに社会的孤立予防プログラムを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、研究者らが作成した「社会的孤立予防プログラム」を用いて地域包括支援センター看護職に教育を実施し、その評価を行う予定であった。しかし、2022年度の看護職を対象とした面接調査がコロナ禍の影響で5名の実施に止まったため、2023年度も面接調査を継続し、看護職4名に面接調査を行った。最終的に9名の面接データが得られ、その分析結果と文献から看護職のための「社会的孤立予防プログラム」を作成した。研究期間を1年間延長し、2024年度は2023年度の研究計画を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の研究課題:地域包括支援センター看護職を対象とした「社会的孤立予防プログラム」の実施と評価 研究目的:地域包括支援センター看護職に社会的孤立予防のプログラムを実施し、その効果を評価することを目的とする。 研究方法:A市の地域包括支援センターに所属する看護職約40名を対象に「社会的孤立予防教育プログラム」を実施する。プログラムは、講義と小集団討議で構成する。講義内容は、社会的孤立のとらえ方、介護者における社会的孤立の特徴、観察点、及び事例紹介である。評価は、教育プログラム実施の直前・直後・3か月後の3時点において、自記式質問紙調査により行う。質問項目は、基本属性(年齢、性別、地域包括支援センター勤務年数、看護師・保健師としての勤務年数)、介護者の社会的孤立への関心・理解(関心、意識、知識)、介護者の社会的孤立に関する情報の把握状況(介護者の外出頻度、地域活動への参加頻度、別居子や親族との接触・電話頻度、近隣や友人との接触・電話頻度、介護状況、ソーシャル・サポート、生活環境、個人特性)とし、4件法で評価する。分析は、記述統計量を算出し、教育プログラム実施の直前・直後・3か月後を比較する。小集団討議は、社会的孤立予防の視点から事例検討を行う。3か月後の評価では、グループインタビューを併せて実施する。分析は、録音内容から逐語録を作成し、質的帰納的に分析し、カテゴリー化する。介入を行う際は、対象者に研究目的や倫理的配慮について説明し、書面で同意を得て行う。
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Causes of Carryover |
2023年度は、研究者らが作成した「社会的孤立予防プログラム」を用いて地域包括支援センター看護職に教育を実施し、その効果を評価する予定であった。しかし、2022年度に実施予定であった看護職を対象とした面接調査がコロナ禍の影響で5名の実施に留まったため、2023年度は面接調査を継続した。2023年度に計画していた社会的孤立予防教育プログラムの実施・評価を行えなかったこと、また、学会発表の経費使用額が少なかったことにより次年度使用が生じた。次年度は、2023年度に予定していた研究を遂行するため、未使用分はそれに使用する予定である。
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