2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K11078
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長田 恭子 金沢大学, 保健学系, 助教 (60345634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 浩二 金沢大学, 保健学系, 教授 (40507373)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 聞き書き / 全人的ケア / 高齢者 / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①「聞き書き」を行うことによって、患者のQOLや精神状態にはどのような変化があるのかを明らかにすること、②「聞き書き」の結果を病棟看護師と共有することによって、看護師の患者に対する見方や理解にはどのような変化があるのかを明らかにすること、③「聞き書き」で得られた語りの内容から、病をもった高齢者が人生の意味を見出すプロセスを明らかにすることである。これにより、看護ケアにおいて、患者のライフヒストリーに着目することの意味、すなわち全人的視点が浸透していくことが期待される。 今年度は、研究開始にあたり、倫理審査委員会への申請を行った。申請後、承認が下りるまでに予想以上の時間を要したため、データ収集を始めることはできなかった。 その間、研究協力者が講師を務める聞き書きの講習会に参加し、聞き書きへの理解を深め、実践の練習を行った。 また、聞き書きに関する研究は少ないが、文献検討を行い、Dignity Therapyを本研究の理論的基盤として採用することとした。Dignity Therapyは、終末期の患者のスピリチュアルケアの一つとして、患者の尊厳(dignity)を維持することを目的とする精神療法的アプローチの1つである。終末期の患者がこれまでの人生を振り返り、自分にとって最も大切なことを明らかにしたり、周りの人々に 一番憶えておいてほしいものについて話をする機会を提供するもので、その効果が立証されている。緩和ケアを受ける人のために開発されたものであるが、いろいろな健康問題を抱えている方、高齢者など、さまざまな方に適用されており、本研究の主旨に沿うと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理審査委員会の承認を得るまでに予想以上に時間がかかったため、データ収集を開始することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、研究協力施設に依頼し研究協力者を紹介してもらい、聞き書きを実施し、データ収集を重ねる予定である。聞き書きの実施後には冊子を作成し、研究協力者にお渡しする予定である。またデータ収集と並行して逐語録を作成し、データ整理を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は研究開始が遅れたことにより、データを保存するためのUSB等を購入することができなかった。研究協力者への謝金も使用しなかった。 またCOVID-19の影響により、学会や講習会はすべてオンラインで行われたため、旅費を使用する必要がなかった。 これらの物品を次年度に購入、あわせて2022年度に実施するデータ収集や逐語録を作成するための経費に充てる予定である。
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