2023 Fiscal Year Research-status Report
新任訪問看護師の判断する力を高める臨床推論を基盤としたケースメソッド教材の開発
Project/Area Number |
21K11080
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
清水 奈穂美 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (90813022)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 訪問看護 / 判断力 / 臨床推論 / ケースメソッド教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で概念化した訪問看護師の判断が導かれる思考サイクルを基盤としたケースメソッド教材を作成した。この教材を用いて新任期訪問看護師を対象に研修プログラムを実施した。研修方法は、臨床推論の基礎知識、ケースを提示し訪問看護師の判断を導く思考プロセスの枠組みに沿い対象者が思考と判断を導き出すセッション、研修後の実践報告と振り返りを行った。データ収集は、研修後の無記名自記式調査とした。提示したケースの臨床推論に対する気づきや学び、自己の課題等の記述内容から質的に分析し、ケースメソッド教材の有用性を検討した。 研修参加者は20名。ケースを提示した臨床推論に対する気づきは、療養者が受けている<重要な治療や内服に目がいきやすい>や<療養者の思いに目が行く>という視点から<症状が起きている原因を考える><一度考えた仮説を疑ってみる><気づきを関連づけて今後を予測する>ことの必要性を学んでいた。さらに、訪問看護師が考えた<仮説と療養者の気がかりを照らし合わせる><療養者と家族の思いを汲み取り推論する>ことの重要性を学んでいた。自己の課題と実践への活用では、訪問看護師として<思考過程を言語化することの難しさ>や<考えを伝えることの難しさ>があること、<気づきを高めること><複数の情報を関連づけて考えること><自己のバイアスの傾向を意識し、行動すること>が挙げられた。以上より、ケースを用いた臨床推論を基盤とした教材は、思考の偏りに気づきをもたらし、医学的判断と価値判断をすり合わせて仮説を考えられ新任期訪問看護師の判断力を養う教材になり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研修プログラムを全国に展開し実施した成果と課題について分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
全国で展開した研修プログラムの成果をまとめ論文化していく。
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Causes of Carryover |
研究者の身内の不幸及び親族の介護が必要となり、予定通りに研究をすすめることができなかったため次年度に繰り越した。本年度に成果の発表および論文化するために使用する。
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