2021 Fiscal Year Research-status Report
配置転換を経験した看護師のアンラーニングを促進するための教育プログラムの検証
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21K11092
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
山口 多恵 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (00597776)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 回復期リハビリテーション病棟 / アンラーニング / 中堅看護師 / 管理者 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的・方法】アンラーニングを促進する教育プログラムの原案作成を目的とし、質問紙調査を実施した。対象施設は、回復期リハビリテーション病棟協会に所属する病院235施設(5施設/都道府県)。質問紙配布対象者は、1施設につき3名お看護管理者とし、705名へ配布した。質問紙の内容は、属性を問う質問および中堅看護師がリハビリテーション看護を受け入れる7つの要因(山口,2020)を促進するために必要な支援を問う設問で構成した。設問は、①患者の回復過程を支えるやりがいを看護師が実感するために必要な支援②多職種協働による看護師の役割意識を看護師自身が明確にするために必要な支援③退院支援を通した「見守り・待つ技術」を獲得するために必要な支援④他者からの指導を受ける機会やロールモデルを持つために必要な支援⑤看護師がリハビリテーション看護に関する学習をするために必要な支援⑥自身の経験の省察*によるリハビリテーション看護の価値への気づきを促すために必要な支援⑦治療優先から生活機能優先への視点の転換を促進する支援について自由記述式とした。 【結果】71名(回収率10.1%)から回答があった。回答者の年齢は47.8±7.5歳、看護師経験年数23.0±8.2年、管理職経験年数7.9±7.9年、回復期リハビリテーション病棟経験年数7.2±5.9年であった。 中堅看護師がリハビリテーション看護を受け入れる7つの要因(山口,2020)を促進するために必要な支援は、「多職種カンファレンスなどにできるだけ多くのスタッフが出れるような環境を作る」「入職時や異動時にプリセプターやエルダーを付けて相談しやすくしている」「生活とは何か、看護が生活を支援するとはどういうことかを考える場と学びの場を提供する」「個々の責任ではなくチーム力で導いていく」等であった。 次年度は、これらの結果を教育プログラムの構成要素として洗練する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度に回復期リハビリテーション病棟協会に所属している施設を対象にランダム抽出による全国調査を実施し、データ収集が済んでいることからおおむね計画通りの進捗である。 回収率が約10%と伸び悩んでいるが、新型コロナウイルス感染症対応における医療現場の煩雑さや看護師の労働環境を鑑みると貴重な10%のデータである。質問紙発送時には、緊急事態宣言やまん延防止措置が発令されている地域は除外して発送したため、地域によって発送時期が1~2か月前後した。しかし、このタイムラグの研究結果への影響はほとんどないと判断している。収集データの分析は現在進行中であるが、さらに分析を進め、教育プログラムの構成要素を洗練することを目指す。データ分析は内容分析および分析ソフト(MAXQDA等)を用いて多角的に分析し、最終的に双方の分析結果を統合し、教育プログラムの構成要素として抽出する予定である。 さらに、現在の医療現場の状況を踏まえたうえで、教育プログラムを実践可能な施設のリクルートの準備に着手している。しかし、回復期リハビリテーション病棟は、急性期病棟の後方支援の役割を担っているところが多く、感染状況により研究への協力が難しくなることが推測される。そのため、対象施設の条件を近隣の県に縮小することや対象者数を最小限に抑えるなど、感染症の状況に応じた対策の必要性を想定している。
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Strategy for Future Research Activity |
教育プログラムを実践可能な施設のリクルートの際は、施設を訪問し看護管理者をはじめ、病棟看護師に口頭と文書をもって説明を予定しているが、新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じて、オンラインまたは文書のみの説明へ変更する可能性がある。不確定要素が多いことから、状況に応じた内容や方法の変更を想定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着いた際には、施設を訪問する際の旅費や謝金として使用予定である。
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