2021 Fiscal Year Research-status Report
バイオフィルムの可視化に基づく新たな慢性創傷の治療プロトコルの確立
Project/Area Number |
21K11107
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
相原 有希子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70707801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 薫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10536220)
関堂 充 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40372255)
大島 純弥 筑波大学, 附属病院, 病院助教 (40835138)
佐々木 正浩 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (80804723)
渋谷 陽一郎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50783883)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 慢性創傷 / 植皮生着率 / wound bed preparation |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷治癒が遷延する慢性創傷において、その遷延させている因子としてバイオフィルムの存在が知られている。バイオフィルムとは、細菌とその細菌を包み込んで定着しやすいようにしている物質であり、バイオフィルムをいかに除去して創面環境を調整するか、が創傷治癒には大事になる。バイオフィルムを取り除くために、洗浄や、デブリードマンという鋭的に組織を取り除く処置を行うが、バイオフィルムは目にみえないため、デブリードマン行う際には臨床経験に基づいて行っている状態である。今回、デブリードマン時にバイオフィルム検出ツールを用いることの効果を調べることとした。 慢性創傷は症例によって原因や治療方法が実に様々であり、比較検討が難しい。そこで植皮手術前のデブリードマンに焦点をあて、植皮手術時のデブリードマン時にバイオフィルムを可視化することの有用性を検討することとした。 具体的な症例としては、現在植皮の生着率が不良である、広範囲熱傷および、創傷治癒機転が働き植皮で閉鎖できる段階になった慢性創傷とした。植皮手術で行うデブリードマン後にバイオフィルム検出ツールを用いてバイオフィルムの有無を評価し、検出された時には追加でデブリードマンを施行してから植皮をする、という流れになる。そうしてバイオフィルム検出ツールを用いた時の植皮の生着率を、植皮が概ね生着するはずである2週間後の写真画像を用いて評価することにより植皮術におけるバイオフィルムの可視化の効果を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用を考えていたバイオフィルム検出機器は、日本市場に入ってきていない事、使用方法が煩雑であり、看護師や介護士など多職種で統一した結果を出すような機器ではないことが後に判明したため。 そのため、方法を変更し、別の、バイオフィルム検出が確立された材料を用いて、バイオフィルム検出の意義について検討する方向へと変更したため。
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Strategy for Future Research Activity |
別のバイオフィルム検出ツールが用いることとした。バイオフィルムの可視化については確立されているツールであるため新奇性はないが、バイオフィルムの可視化の有効性については当初の予定と同様に評価検討できるためその検出ツールを用いて検討を行う。 バイオフィルムが関係していると考えられる創傷への植皮前のデブリードマンについて『バイオフィルム検出ツールを用いたデブリードマンによる植皮生着率を評価する単群試験』として前向き研究を開始。症例を集めて評価。また、過去の症例の後ろ向き研究についても進め、合わせてバイオフィルムの可視化の有効性を検討していく。
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Causes of Carryover |
バイオフィルム可視化のための機器の使用をやめたため、機器購入代金がかからなかったことが大きい。さらに助成金の使い道としてバイオフィルムの可視化の機器購入のための資金が大半であったこと、コロナ禍で現地開催の学会が少なかったこと、から学会参加の旅費を助成金からは使用しなかったためさらに次年度使用額が生じた。 次年度に前向き研究が始まる予定であり、変更して使用することとしたバイオフィルム検出ツールの材料費やデータ処理のためのパソコンや周辺機器の費用としてあてていきたい。また、学会発表などで発信するにあたり現地へ赴くことが多くなると予想されるため旅費などに使用していきたい。
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