2022 Fiscal Year Research-status Report
ナラティブを形成する日常会話における自発性瞬目の同期度の評価に関する研究
Project/Area Number |
21K11124
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
川口 港 関東学院大学, 理工学部, 研究助手 (00773350)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 瞬目 / コミュニケーション / 日常会話 / 同期現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の認知機能ひいては生活の質は中枢神経系を構成するネットワークの適切な賦活によって支えられている.対人コミュニケーションにおいても例外ではない.また高齢者における1日当たりの発語時間の短さが生活の質の低下を誘発していることが従来より示唆されており,日常会話をケアとして位置付けることが,その解決に結びつく可能性がある. 近赤外線分光計測を用いた日常会話が高次脳機能に与え得る影響を調査した先行研究では,ケア提供職にとって業務の遂行に必要な会話よりも,個人史を含むような日常会話を行っている時の方が有意に高い賦活が認められた. ところで瞬目は,眼球湿潤のために生起するのみならず不随意的に生起しながらも覚醒状態や感情などの心理的状態を反映していることが従来から知られている.対人行動において視線交差が生じる場面でも瞬間の同期が観測された.これらの現象は,大脳皮質のみによってなされるものではなく,複数の領域の協調的な活動によってもたらされることが観測されている. しかしながら,日常会話においては常に視線交差がなされる訳ではなく,瞬目の同期が日常会話でも観測されるか否かは未だ不明である. 本研究の目的は,文脈への理解や共有を反映することが示唆される自発性瞬目の同期が,日常会話において観測されるか否かを明らかにすることである.そしてその同期度を客観的かつ定量的な指標として提案し,会話中の参与者の行動や共有された文脈との関係を明らかにすることを第二の目的とする.瞬目は中枢神経系における内因的な活動の表れであることから,簡易なコミュ二ケーションをアシストするシステムの構築という看護理工学的な貢献のみならず,相互行為やエピソード記憶における神経情報処理基盤の理解の一助となることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は本学学生を対象に,実験を行った.しかしながらリクルーティングに遅延が生じ,十分なサンプルサイズの元でのデータの分析を行うに至らなかった.また,瞬目生起時刻に対する分析の他,視線交差の自動検出が可能か否かを検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに収集した個別のケースについてデータを注意深く観察し,会話条件以外に瞬目同期度を変え得る因子の有無を調査する.また,2022年度末に,被験者のリクルーティング対象を,本学所属の学生のみならず学内外の成人も含めることについて関東学院大学人に関する研究倫理審査委員会の承認を得た.両群を対象とした実験を並行して進めていく.
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Causes of Carryover |
2022年度は被験者のリクルーティングに遅延が生じ,十分なサンプルサイズの元でのデータの分析を行うに至らなかった.次年度は上述の被験者謝金の他,成果発表のための諸費用(国内学会発表,国際会議,論文投稿に関する費用)を計上する.
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