2021 Fiscal Year Research-status Report
近赤外分光法による高齢者への前腕浴が前頭葉機能の注意力に及ぼす効果の検証
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21K11146
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
山崎 智可 富山県立大学, 看護学部, 講師 (80601666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 悦郎 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90313600)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 前腕浴 / 脳活動 / 近赤外分光法 / 前頭葉機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、温湯ケアによる前頭葉の血流増加が、前頭葉機能を向上させることができるかについて検証する。 温湯ケアは肘関節まで湯に浸す前腕浴を選択し、前頭葉機能は「注意力」に着目した。「注意力」は、色と文字を使用した簡易な検査方法(Stroop検査)で実施予定である。 温湯ケアはリラックス効果があるため眠気を誘発する可能性がある。また、姿勢保持により対象者が疲労する可能性も考えられる。これらにより、眠気や疲労の影響が少ない実験プロトコールを設定する必要があった。当該年度は、これらの事を考慮した予備検討を実施し、以下の通りの実験プロトコールを設定した。今後は健常人を対象に安全性と実行可能性を確認後、健常高齢者を対象に実験を行う予定である。 近年、認知症高齢者が増加する状況にあるなか、高齢者施設や在宅療養の場でも手間や費用をかけず実施できる前腕浴が前頭葉機能を向上させることを実証できれば、高齢者の認知機能低下を予防することにつながる。 初年度である令和3年度は、実験システムの構築と予備的実験を行った。両前腕を浸水させることができ、かつ、湯温を恒温器により42℃に保持可能である浴槽を作成した。前頭葉の活動は様々な影響を受け変化することが知られている。本研究では、温熱刺激以外の影響をなるべく排除する目的で、対象者の周囲を白板で囲うことで視覚刺激を排除した条件で統一した。予備的実験では、前腕浴時間を5分とし、近赤外分光法(NIRS)による左右前頭葉の脳活動を記録できることを確認した。これらにより実験を記録するシステムを整えることができた。本研究では前額部の16か所で測定を行う。予備的実験の1例では、前腕浴実施前と比較し、前頭前野の16か所の測定ポイントのうち、14か所で脳血流の上昇を確認できた。また右前頭前野より左前頭前野の脳血流増加の傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で必要となる、全身性血流及び皮膚血流を除去し、脳血流のみを抽出する脳機能イメージング装置が、令和3年度の予算配分当初では購入できなかったため、予算の前倒し請求をする必要があった。また予備的実験の際、装置の不具合を発見し修理が必要となり、計画通りに実験を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の実験システムが整ったため、当初の計画通り、前頭葉機能検査に最適な前腕浴の浸水時間の確定のため、倫理審査申請手続きを進める。
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Causes of Carryover |
当初計画していた研究が実施できず、対象者への謝金を執行できなかったためである。
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