2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔清掃と口腔機能向上を目的とした口腔ケアの効果の検討
Project/Area Number |
21K11155
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
大内 潤子 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (00571085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 裕子 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40336409)
奥村 由美恵 北海道科学大学, 保健医療学部, 助手 (50736436)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口腔ケア / 口腔機能 / 摂食嚥下 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,黒岩メソッドによる口腔ケアの効果の評価に向けて,研究協力医療機関において,入院中のセルフケアが困難な高齢者を対象に,従来の口腔ケアを実施した場合の口腔機能を評価し,看護師を対象に黒岩メソッドの指導を実施する予定であった。しかしながら,新型コロナウイルス感染症の拡大により,予定していた医療機関からの研究協力を得ることが困難となり,予定した内容が実施ができなかった。 そのため,過去5年における口腔ケアの効果を検討した内外の14文献について,研究デザイン,介入内容,介入期間,評価指標,評価時期,結果の観点から,研究動向を検討した。その結果,研究デザインは,13文献がRCT,1文献が準実験デザインを用いていた。口腔ケアの目的として,肺炎の予防を含むものが4件,口腔の健康や口腔衛生の向上を含むものが14件,主観的健康の向上が1件,口腔機能の向上が1件であった。介入の内容は,特定の歯ブラシを用いた歯磨きや保湿ジェルの塗布,クロルヘキシジンを含む歯磨き粉の使用など様々であった。介入期間は,文献によって大きく異なり,最短で5日間,最長で1年であった。それに伴い,評価時期も介入開始5日目から12ヶ月後と大きく異なっていた。評価指標としては,肺炎の発生率や特定の細菌の検出有無,プラークの付着,口腔の健康状態を包括的に観察し評価する指標などが用いられていた。口腔機能の改善を目的とした介入においては,経口摂取量や栄養状態の指標などが使用されていた。口腔ケアの効果に関しては,肺炎の予防,口腔の健康や口腔衛生の向上について一貫した結果は得られていなかった。また,経口摂取量や栄養状態に対する効果も確認できなかった。これらの結果から,様々な口腔ケアの効果が検討されているが,口腔衛生の維持・向上のみならず,口腔機能向上を明確に意図した口腔ケアの検討が不足していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行が収束せず,2021年夏では重症者が増加し,収束したかに見えたところでオミクロン変異株の流行で,感染者が急増し,研究協力医療機関がその対応に追われたこと,また,外部者が施設内に入ることが難しくなったことが最大の要因である。加えて,研究協力機関において,上記対応に追われるなどして,人員の不足や疲弊などにより,研究協力に割く時間や気持ちの余裕などが失われており,新たに研究協力機関を探す必要が生じたことが遅れの原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,新たに研究協力機関を募っているところである。当初の計画では,これから黒岩メソッドを導入する医療機関での調査を計画していたが,黒岩メソッドの教育研修プログラムの実施が必須となることから医療機関への負荷が大きく,コロナ禍での実施が困難である可能性が高い。そのため,すでに黒岩メソッドを導入している医療機関および訪問看護ステーションに研究協力を要請する予定である。 また,現在,黒岩メソッドの評価項目を整理中であり,研究者の施設内での滞在時間の短縮および現場の研究協力者の負担を軽減し,研究協力への同意を得やすい状況を整備中である。 さらに,当初の計画では,病院での評価後に,訪問看護での評価の予定であったが,すでに黒岩メソッドを導入している訪問看護ステーションからの研究協力が得られた場合は,そちらでの調査を先行させるなど,柔軟な対応をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,研究協力医療機関においての調査や次の調査のための準備等ができなくなったことにより,研究実施に遅れが生じているためである。また,研究の遅れにともない,研究成果の発表もなくなり,それに伴う支出がなかったことも一因である。
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