2022 Fiscal Year Research-status Report
壮年期におけるひきこもり当事者のひきこもるプロセスの解明と支援方法の構築
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21K11159
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Research Institution | 湘南医療大学 |
Principal Investigator |
玉田 聡史 湘南医療大学, 保健医療学部看護学科, 助教 (60804581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 典子 湘南医療大学, 保健医療学部看護学科, 教授 (40612502)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的ひきこもり / 壮年期 / 回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
壮年期にひきこもりを経験した当事者に対してインタビューを実施し、壮年期のひきこもりにおけるひきこもるきっかけから回復に至るまでのプロセスを明らかにすることを目的に、研究を実施した。 対象者の条件は、40歳から59歳までにひきこもり状態にあった者とし、ひきこもり始めた年齢や現在の年齢、性別、居住地は問わないこととした。対象者の募集は、KHJ全国ひきこもり家族連合会などの当事者団体を介して、条件に該当する対象者の募集を行った。加えて、インターネット調査会社に対して、条件に該当する調査パネルの紹介を依頼し、インターネット調査を並行して実施した。その結果、ひきこもりを経験し社会と接点を持てるようになった者12名に加え、現在も社会と接点を持てずにいるが、インターネット調査であれば協力が得られた者8名の合計インタビュー対象者が得られた。 インタビュー調査は2022年12月から2023年3月までの期間に実施した。インタビュー方法は、対面でのインタビューに加え、本人の希望や遠方の対象者についてはオンラインでのインタビューを実施した。インタビューはインタビューガイドを用いた半構造化面接法にて実施し、インタビューの内容は対象者の同意を得て録音した。結果の分析は、録音データから逐語録を作成し、逐語録を対象に改訂版グランデットセオリーアプローチ(M-GTA法)を用いて分析を行った。 インタビューの結果、社会と距離をとる原因が親の介護である例、継続して就業し社会と接点を持ち続けているが不全感を抱いている例など、講義の引きこもりの定義に当てはまらない事例4例を除いた16例を対象に分析を実施した。 インタビューの結果、理想の社会像、家族との関係性、思春期の経験、社会人としての生きにくさ、地域社会からの疎外感をはじめとしたカテゴリが抽出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インターネット調査会社を介した対象者の募集に時間を要した結果、インタビュー開始時期が遅れてしまった。その結果、計画では2022年度中にインタビュー内容の分析を終える予定であったが、現段階でもインタビュー内容の分析を継続している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータをもとに、M-GTA法にて分析を継続するとともに、M-GTA法で目指す理論的飽和を目指すために、追加で数例のインタビュー対象者へインタビューを継続して実施する必要がある。しかし、2023年初頭に家族の介護のために研究機関への勤務が継続で着ない可能性が生じている。その場合は、研究結果を得られずに研究中断を余儀なくされる可能性がある。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、研究者自らがインタビュー対象者のもとへ出向きインタビューを実施する計画であった。しかし、対面でのインタビューが実施できる対象者が少なかった結果、旅費の支出が減少した。一方、インターネット調査会社へインタビュー対象者の募集依頼を行った結果、その他の費目が増加している。このような背景で、計画よりも残額が生じている。
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