2022 Fiscal Year Research-status Report
多施設で計測する慣性センサーデータにより作成する脳性麻痺児での歩行変数の発達曲線
Project/Area Number |
21K11163
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
木元 稔 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40759586)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 歩行 / 発達 / 発達曲線 / 慣性センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小型・軽量である慣性センサーを脳性麻痺児の両側の足背につけ、歩行速度・重複歩距離(歩幅)・ケイデンス(歩調)などを長期間にわたり計測することである。計測は全国の小児専門とする施設・病院で行い、多施設・縦断的なデータ収集を行う。 子どもは通常、年齢が増すほどに歩行も発達し、より速く歩くことが可能になる。しかし、脳性麻痺児では、重複歩距離が長くなり、歩行速度が増大したように見える場合もあるが、下肢長でこれらの値を補正した場合、年齢に伴い歩行能力は低下したと判断することが妥当である場合も多い。症例によっては、継続的な理学療法を中心とするリハビリテーションに加え、薬物治療や手術治療を行う必要がある。 本研究は、歩行速度・重複歩距離・ケイデンスなどの縦断的な歩行データをグラフ化し、脳性麻痺児の歩行経過のグループ化を図る。得られたグラフは、リハビリテーション・薬物や手術の実施タイミング決定や効果判定に役立つことが期待される。慣性センサーを用いた歩行速度と重複歩距離の計測は、健常者を対象にその妥当性が証明されている。しかし、脳性麻痺児が示す特徴的な歩容においても、正確に歩行速度や歩幅を計測できるか、明らかになっていない。特に脳性麻痺児では踵がつかない歩き方(尖足)や、踵離れが早い歩き方をするため、慣性センサーデータに特有のノイズが発生し、計測値に誤差が生じてしまうことが知られている。 昨年度に得たデータを検証した結果、脳性麻痺児だけでなく、健常成人でもすでに公表されている方法に準じた方法でも、誤差が許容できないほど大きいことが明らかになった。今後は、センサーの装着位置を変更することにより、正確度と精度が保証された新たな計測手法の開発を目指す。装着位置の変更に従いプログラミングも見直し、再度検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
慣性センサーから得たデータから、距離変数の算出を行ったものの、誤差が大きく許容できる範囲を超えていた。再度、プログラミングとその検証を行なっており、遅れが生じている。 コロナ禍であることもあり、被験者データを計測することに難渋したことも、遅れが生じている一因になっている。 理工学系の研究者に協力を仰ぎ、プログラミンの修正を繰り返し行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
センサーの装着位置を足背から足底に変更し、誤差の検証を行う。研究目的を達成するための計測の正確度や精度が得られなかった場合は、光学式の計測に変更する。変更の判断は2023年度中とする。
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Causes of Carryover |
慣性センサーによる距離変数算出の正確度や精度が低い。プログラミングの外部委託や光学式計測への方法へ変更する可能性も考慮すると、現時点での慣性センサーの追加購入は躊躇せざるを得ない。そのため、次年度使用額が生じている。
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