2021 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋変性の加齢変化の解明および筋変性予防に効果的なトレーニング法の開発
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21K11166
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
池添 冬芽 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (10263146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市橋 則明 京都大学, 医学研究科, 教授 (50203104)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 筋変性 / 加齢変化 / 筋量 / 筋内脂肪 / 下肢筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究目的は、骨格筋変性の指標として筋内脂肪増加について評価し、骨格筋変性および筋量の加齢変化の特徴について明らかにすることとした。 対象は健常成人女性37名(年齢:43.1±13.6歳、身長:158.4±5.0cm、体重:53.8±8.1kg)とした。測定に大きな支障を及ぼすほど重度の神経学的・整形外科的障害や下肢に手術の既往のある者は除外した。超音波診断装置を用いて、筋量の指標として筋厚、筋変性の指標として筋輝度を測定した。対象筋は右側の大腿直筋、外側広筋、大腿二頭筋、中殿筋、前脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋とし、筋肉を圧迫しないようにプローブを皮膚に軽く接触させたときの超音波画像を記録した。撮像した超音波横断画像から画像解析ソフト(Image J)を用いて、8-bit グレースケールにて対象筋の平均輝度を数値化した。なお、筋輝度の値が大きいほど筋内の脂肪や結合組織といった非収縮組織の割合が多いこと、つまり筋変性が進行していることを示す。対象者を20代・30代の若年群と40代~60代の中高年群に分類し、各筋の筋厚および筋輝度について対応のないt-検定を用いて比較した。その結果、筋厚については、すべての筋において2群間に有意差は認められなかった。一方、筋輝度については、すべての筋において若年群と比較して中高年群の方が有意に高い値を示した。本研究の結果、加齢に伴う骨格筋変性(筋内非収縮組織の増加)は筋量減少よりも早期から始まることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、骨格筋変性の指標として筋内脂肪増加について評価し、骨格筋変性および筋量の加齢変化の特徴について明らかにすることを目的として研究を実施した。骨格筋変性および筋量の評価には超音波診断装置を用い、下肢筋の加齢変化について分析した結果、中高年群ではすべての筋において骨格筋変性(筋内非収縮組織の増加)が認められたのに対して、筋量減少は認められず、骨格筋変性および筋量の加齢変化の特徴が明らかとなった。しかしながら、これら骨格筋変性が筋収縮能力に及ぼす影響については検討が不十分であったため、この点については今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は下肢筋の筋変性と筋収縮能力との関連について解明するとともに、骨格筋変性および筋量の加齢変化の特徴についての縦断的追跡研究を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)2021年度、骨格筋変性および筋量の加齢変化の特徴について明らかにするという研究目的は達成したものの、新型コロナウィルス感染拡大の状況が大きく影響し、対象者数が当初予定していた人数よりも少なかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。 (使用計画)2021年度の研究においては対象者数が少なかったため、2022年度は新型コロナウィルス感染拡大の状況を鑑みながら、できるだけ対象者数を増やして、2022年度の研究を推進する予定である。
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