2022 Fiscal Year Research-status Report
運動学習における特異的GABAシナプス脱抑制のメカニズムとその意義
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21K11168
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木田 裕之 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70432739)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 運動学習 / シナプス可塑性 / AMPA受容体 / GABA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動学習における一次運動野V層のシナプス可塑性を明らかにするために、雄ラットを用い、運動学習課題としてローターロッドテスト(1日10試行・2日間)を行った。訓練後でなく、訓練前にV層のNMDA受容体を阻害すると、学習成績が著しく低下するため、スキル獲得には興奮性シナプスの可塑性が必要である事が明らかになった。スライスパッチクランプ法でV層錐体細胞群を解析すると、訓練30分以内にGABAニューロンによる自発性の脱抑制が発生し、続いてAMPA受容体を介する興奮性シナプス群が強化された。さらに動物の運動成績は、AMPA受容体を介する興奮性シナプス電流の平均値と強い正の相関を示した。次にV層錐体細胞群を可視化したThy1-YFPマウスを使って、live imaging法で同一スパインを三日間追跡した。すると、訓練によってV層錐体細胞群の相当数のスパインが急速に動員され、体積変動タイプが減って、平均スパイン体積が急性的に増加する事が判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は抑制性細胞のシナプス可塑性に焦点を当てるため、複数の遺伝子改変マウスを使用する予定であったが、マウスの維持・管理にスペースとコストが不足したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスを使用して細胞を標識し、引き続きパッチクランプ法を用いたスライス実験を行い、電気生理学的に脱抑制メカニズムを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスではなく、ウイルス標識による実験に切り替えたため残額が生じた。この未使用額については、令和5年度の実験試薬の購入に充てる。
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