2023 Fiscal Year Research-status Report
歩行中の注意負荷量に対応する歩行調節能力を指標とした転倒予防戦略の構築
Project/Area Number |
21K11171
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
鈴木 智高 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (00576382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 憲一 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (90280198)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 注意 / 歩行 / 反応時間 / トレッドミル |
Outline of Annual Research Achievements |
歩行や姿勢を制御する能力は転倒リスクに関連する因子であり、さらに、注意機能の低下も転倒リスク要因の1つである。本研究では、認知課題および運動課題を付加した様々な環境下において、歩行パターンや注意機能がどのような影響を受けるかを検討している。 直線路快適歩行における注意需要と歩行制御の変化を調べる研究に関して、データの収集を終えて解析を行っている。反応時間の分析結果から、これまでと同様に、中程度から高度な難易度の計算課題において差が生じておらず、注意需要の変化に天井効果が生じていると考えられた。歩行パラメータの分析結果から、これらに関して認知課題の影響は生じていなかった。よって、本研究の環境下は、ひとにとって安定した歩行制御を維持できる負荷量であることが示唆された。 変速型トレッドミル歩行における注意需要と歩行制御の変化を調べる研究に関して、現在、データ収集を行っている。これまでの解析結果から、一定周期の変動を生じる変速歩行速度制御に関して、認知課題の遂行に関わらず注意需要の増加は限定的であると推察された。歩行パラメータに関しては、部分的な区間ではあるが、減速から加速に至る速度調節の制御においてステップ時間の短縮がみられた。 両研究とも仮説と異なり、健常な歩行調節能力があれば安定した歩行動作を維持できることが示されたことから、今後はさらに課題の難易度を検討し、歩行制御に影響を及ぼす課題負荷量について明らかにしていく必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年に引き続き、変速型トレッドミルのメンテナンスに時間を要した。現在、本研究施設に再配備され再テストを実施している。問題なければデータ収集を再開しサンプルを増やす予定である。さらに、今後は変速課題の速度条件を修正してデータ収集を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
直線路自由歩行研究および変速型トレッドミル歩行研究において、設定した課題では安定した歩行制御が可能であった。仮説と異なる結果ではあったが、この知見に関して、変速課題の解析が終わったら論文にまとめる予定である。一方で、本研究では予備的な能力では対応困難な状況における歩行制御動態を明らかにし、転倒予防のための歩行練習課題における負荷量設定の一助となることを目的としている。そのため、平地歩行、トレッドミル歩行課題ともに、課題の難易度設定を修正し再度データ収集を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進行が遅れているため、物品費、人件費の支出が少なかった。また、学会が近隣開催であったため支出が抑えられた。これらに関しては次年度に使用していく予定であるとともに、今後論文をまとめるにおいて校正費等に使用していく予定である。
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