2023 Fiscal Year Research-status Report
EGCGによる脳外傷後の高齢者高次脳機能障害発症抑制関連因子発現に関する研究
Project/Area Number |
21K11181
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
佐藤 隆夫 近畿大学, 大学病院, 教授 (70162443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 敬夫 近畿大学, 医学部, 助教 (00441006)
伊藤 龍生 近畿大学, 農学部, 教授 (40330245)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 緑茶 / カテキン / 高次脳機能障害 / 脳外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目標は,緑茶カテキン(エピガロカテキンガレート、EGCG)飲料を用いて脳外傷後に出現する神経幹細胞の神経再生及び修復に関わる因子を網羅的に調べ,高次脳機能障害発症抑制関連因子を明らかにすることである。脳外傷後の神経再生・修復を行う上で神経幹細胞の生存維持は重要である。脳外傷ラットモデルでのEGCG水溶液摂取(EGCG飲水)群と非摂取(非EGCG飲水)群との行動学的な形質の差異を明らかにし,行動学的表現型と神経幹細胞の生存,分化との関係について解析を行う。 申請者らはpneumatic control injury deviceを用いて10週齢ラットオスを用いて緑茶カテキン(エピガロカテキンガレート、EGCG)投与群、Contorol群に分け、脳に外傷を与えたラット脳外傷モデルを作製した。Control群とEGCG群での脳外傷部位で1,3,7,30日後の経時的に神経再生及び神経新生を確認するために切片を作製し、免疫染色を行った。経時的に神経細胞がアポトーシスを起こすことが明らかとなった。EGCG群ではアポトーシスが抑制された。また、そのアポトーシスの原因を調べるために酸化ストレスの影響を明らかにするために8-OHdG及び4-HNEも免疫染色を行った。Control群では大型の神経細胞に8-OHdGおよび4-HNEの陽性である両陽性細胞も有意な増加が見られた。しかしながらEGCG群では、Control群に比較し、8-OHdG及び4-HNE陽性陽性細胞の有意な減少が見られた。また、外傷周囲組織より経時的に採取した組織のMalondialdehyde (MDA)を測定した結果、Control群ではMDA量の有意な増加が見られたが、EGCG群では、Control群に比較し、MDA量の有意な減少が見られた。EGCGにより酸化ストレスが抑制されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在は、実験として概ね順調に進展している。動物実験モデル作製では、脳外傷後におこる動物の不慮の事故による損失が少ない。そのために、実験モデル動物を再作製する時間が取られずに順調に動物の供給ができている。また、遺伝子採取、タンパク採取においても実験モデルに余裕があるためにスムーズに実験が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、最終年度であるためにWater maze 試験を行い、EGCG群の行動学的な変化を確認する。その確認した個体群より、遺伝子、タンパク質の抽出を行い、どの様な遺伝子、タンパク質が発現しているかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験モデル作製が概ね順調にいき、さらにそれに伴い、餌代、飼育に関する費用、そして消耗品の費用が少なくて済み、10万円ほどの使用額の差が生じた。この費用は、2024年度に実施する、RT-PCR用試薬、タンパク質発現用試薬やそれらに伴う、消耗品として使用する予定である。
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