2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of prognostic factors for cardiovascular disease by cardiac rehabilitation using HDL function
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21K11184
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
北島 研 福岡大学, 医学部, 准教授 (70469378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 教授 (20343709)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心臓リハビリテーション / HDL機能 / 抗酸化作用 / 抗炎症作用 / コレステロール引き抜き能 / 動脈硬化のバイオマーカー / HDLの質改善 / 心血管病の予後改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行していく高齢化社会において、高齢心血管疾患患者を対象とする心臓リハビリを長期に行うことにより、HDL機能が向上し、心血管・腎保護効果が期待される。本研究の目的は、心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)による心血管疾患患者のHDL機能変化を測定し、臨床、基礎の両面から動脈硬化治療の機序を解明し、心血管病の予後を推測可能とすることにある。 HDL機能には、コレステロールの引き抜き能や抗酸化作用、抗炎症作用があり、動脈硬化のバイオマーカーとして判定できるとして期待されている。HDLは酸化されたリン脂質により機能障害を来すことが知られるようになった。運動療法前後でHDL機能を測定し、HDLの質・機能を改善させることを観察できれば、運動療法による動脈硬化性病変の治療機序が解明される一つの可能性になる。 研究初年度の2021年度の臨床研究では心不全患者において、心肺運動負荷検査(CPX)において運動前と運動直後を比較し、HDL機能の急性変化を検討しており、血清の抗酸化マーカーやコレステロール引き抜き能の変化を計測している。基礎研究では、動脈硬化モデルマウスであるアポリポ蛋白E欠損マウスを用いた運動療法の実験を行っており、中高年齢層に相当する52週齢のマウスに高脂肪食を摂取させた上で、運動群と非運動群に分けた。血液中のサイトカインIL-6を測定したところ、運動群で低下し、非運動群では増加していた。 今後は2021年度の研究を継続するとともに、高齢者における比較的長期の心臓リハビリがもたらす心・腎機能の向上、脂質代謝の変化、特にHDLの質・機能改善をもたらし、心血管疾患の予後を改善すると同時に予後予測因子となることを臨床研究及び基礎研究から証明していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでの研究において保管しているヒトやマウスの血漿検体を用いて、HDL機能の一つであるコレステロール引き抜き能の確認を予定しているが、マクロ ファー ジ細胞での引き抜き数値が安定していなかった。そのためマクロファージ細胞種を変更しており、遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究では、引き続き心血管疾患患者における心臓リハビリによる予後を解明するため、さらに期間を追い、臨床検査値のほか、コレステロール引き抜き能 や抗酸化ストレス能、ミオカインなどのサイトカインを指標にして評価を継続していく。 基礎実験においては、動脈硬化性モデルマウスであるアポリポ蛋白E欠損マウスでの運動療法に関する実験を継続する。これまでに得られた検体を用いて、引き続き血清脂質と抗酸化ストレス作用、コレステ ロール引き抜き能などHDL機能、及び大動脈の動脈硬化量、肝臓脂肪量、 骨格筋繊維などが変化するかを確認する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は調達方法の工夫により、当初計画より経費の節減を図ることができ、次年度使用額が生じることになった。2022年度には、これまでの研究で得られた検体試料を用いて、コレス テロール引き抜き能や動脈硬化計測のため使用する計画である。
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