2022 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質視覚野に可塑性を促す新しい視覚機能リハビリテーション法の開発
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21K11198
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
中島 剛 杏林大学, 医学部, 講師 (60435691)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚機能回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒト視覚経路システムの強化・再構築を目指した神経リハビリテーション法を開発する。具体的には、視覚障害後、非侵襲的脳刺激法(経頭蓋的磁気刺激法)を駆使し、ヒト大脳皮質視覚野に可塑的変化(長期増強効果)を引き起こす。そして、減衰した視覚入力を脳内で増幅・強化させようとする試みである。昨年度は、新型コロナウイルス蔓延に伴い、被験者の応募を行うことができず、当該研究における進捗は極めて悪かったが、本年度に関しては、感染症対策を万全に、実験の遂行が可能となった。特に、今回は、“色”に関連する視覚経路の神経伝達効率の増強に焦点を絞り、検討を行った。方法論は、1. 視覚障害患者にも適応可能な視覚刺激(強度視力低下を伴う場合でも特定の色に関連する錐体を選択的に刺激する方法)と、初期視覚野(1次、2次視覚野等)に対する経頭蓋的磁気刺激を組み合わせ、2. その連合性刺激を繰り返すことにより、3. 視覚野ニューロンへのシナプス増強を図るというものである。この手法により、受容器からの入力が弱化した網膜変性疾患患者の色弱症状や、大脳性色覚異常等への治療効果を期待している。 その結果、本年度は、患者応用可能な色覚刺激の装置を作成し、視覚経路の興奮動態を反映する視覚誘発電位(VEP)を脳波上から記録できるようになった。さらに、視覚野の可塑性誘導に関わる実験を行い、一定の可塑性誘導を示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、新型コロナウイルス蔓延に伴い、被験者を行うことができず、当該研究における進捗は極めて悪かったが、本年度に関しては、感染症対策を万全に、実験の遂行が可能となった。その結果、きわめて順調に研究が進んでおり、データも着々と収集できている状況である。よって、現在までおおむね順調に進展しているという結論に達した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに、被験者数を増やし、研究を推進していこうと考えている。また、コントロール実験も増やし、得られたデータの確実性を示していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、当該研究における被験者を募集することが極めて困難な状況であり、物品購入および消耗品等は購入しなかった。その後、本年度は実験装置作成と改良(視覚刺激用のゴーグル等)と健常被験者を募った初期段階の基礎的実験遂行のみであった。しかしながら、次年度はさらなる研究遂行といくつかの実験機材等の購入は確実であり、次年度へ持ち越すこととしたい所存である。
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