2022 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中・脊髄損傷の後遺障害のリハビリテーション治療への漢方薬の応用
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21K11227
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
徐 明利 東京医科大学, 医学部, 客員講師 (80597964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曲 寧 東海大学, 医学部, 准教授 (70527952)
隅山 香織 東海大学, 医学部, 准教授 (20433914)
善本 隆之 東京医科大学, 医学部, 教授 (80202406)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 漢方薬 / 慢性期 / 炎症反応、 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は8週齡C.B-17脳梗塞モデルマウス(慢性期における実験的処置の治療効果および副作用の評価が可能な左中大脳動脈皮質枝領域に限局した脳梗塞モデルマウス; CLEA-Japan. Inc.)を用いて、脳梗塞発症2週後にコントロール餌(通常飼料群)、牛車腎気丸(TJ107)を含有させた餌(TJ107飼料群:ヒト投薬量を体重換算して5倍のTJ107餌)を60日間自由摂取させた。梗塞巣がある左脳と梗塞巣がない右脳からRNAを抽出し脳内炎症反応と脳血液関門タイトジャンクションの変化について調べた。今年度は同じ処置した各群のマウスについて、梗塞したの左中大脳動脈皮質枝領域の脳組織と梗塞なしの右中大脳動脈皮質枝領域の脳組織からRNAを抽出し、脳内炎症反応(マクロファージ(F4/80, CD163), TLR2・4, IL-23, IL-17, TNF-α, IL-1β等)と脳血液関門タイトジャンクション(ZO-1, Occludin,Claudin-1, Claudin-3, Claudin-5等)と血清抗体の変化について調べた。通常飼料群では梗塞した左中大脳動脈皮質枝領域の脳組織のF4/80, TLR2, TLR4, IL-1β, TNF-αの上昇が見られ、TJ107飼料群では脳内炎症反応が抑制された。ただし脳血液関門タイトジャンクションの有意な変化が見られなかった。また昨年度の結果と違って右中大脳動脈皮質枝領域の脳組織には脳内炎症反応(CD163, TLR4, IL-23, IL-1β)の上昇と脳血液関門タイトジャンクション(ZO-1, Occludin, Claudin-1, Claudin-5)の低下が見られなかった。採取した脳で連続パラフィン切片を作成して、炎症細胞浸潤と改善程度を組織的に解析する予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳虚血モデルの研究から脳梗塞発症後数時間の急性期におけるマクロファージを中心とした炎症プロセスを明らかにされたが、しかし亜急性期と慢性期でそれぞれ主な障害メカニズムが異なる、脳梗塞発症後時間が経過した慢性期における有効な新たな治療薬の開発が望まれている。本研究では、障害後リハビリテーションによる効果が発症から時間が経過するにつれて減弱する時間依存性を司る分子メカニズムを明らかにすることを目的として実験した。我々の結果から、梗塞巣がある左脳と梗塞したの左中大脳動脈皮質枝領域の脳組織TLR4依存的に脳内浸潤マクロファージが活性化され、慢性期の炎症促進することが明らかにされた。通常飼料群に比べ牛車腎気丸の投与による脳内炎症反応が抑制された。また脳虚血性期に脳血液関門の破綻が進む、牛車腎気丸は脳血液関門タイトジャンクションの破綻を抑制することが証明された。
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Strategy for Future Research Activity |
脳の連続パラフィン切片で炎症細胞浸潤と改善程度を組織的に解析し、脳梗塞モデルマウスの左中大脳動脈皮質枝領域の脳組織と反対側の梗塞していない右中大脳動脈皮質枝領域の脳組織だけを採取し、脳内炎症反応(マクロファージ(F4/80, CD163), TLR2・4, IL-23, IL-17, TNF-α, IL-1β等)と脳血液関門タイトジャンクション(ZO-1, Occludin,Claudin-1, Claudin-3, Claudin-5等)を調べ、脳保護効果と機能改善について前年度の結果と比較する。 またマウスの胸髄損傷モデルを作成し、2週後にコントロール餌、牛車腎気丸を含有させた餌を10週まで自由摂取させた後に経時的に脊髄と麻痺骨格筋線維の組織形態学的および生化学的に解析を行い、脊髄損傷による二次的な筋萎縮に伴う神経筋接合部への影響について漢方薬の改善効果を評価する。
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Causes of Carryover |
予定していた血清抗体の実験は完成していないために13180円の残額が生じた。残金は、次年度の消耗品代に使用する。
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Research Products
(5 results)