2022 Fiscal Year Research-status Report
呼吸器疾患おけるミトコンドリア機能の経時的変化と酸素療法、運動療法の併用効果
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21K11233
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
今北 英高 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00412148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 呼吸器疾患モデル / 運動療法 / 酸素療法 / ミトコンドリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年9月、世界保健機関は世界人口の92%が汚染された大気中で生活しており、大気汚染に関連して年間約300万人が死亡していると報告した。呼吸器疾患は大気汚染や喫煙、ウィルスやアレルギー反応などによって罹患率が上昇する。慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎など呼吸器疾患は世界的に増加しており、2020年には心臓病・脳卒中に次ぐ世界の死亡原因の第3位になると予想されている。呼吸器疾患は、呼吸機能に悪影響を及ぼすだけでなく、下肢骨格筋の最大随意収縮力の低下や横隔膜筋線維の遅筋化、代謝亢進による体重減少と栄養障害なども報告されており、現在では骨格筋機能異常や栄養障害、全身性炎症などを呈する全身性疾患として捉えられている。Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD 2011)では呼吸リハビリテーションに関して、運動療法は全てのCOPD患者に対して有用で、運動耐容能および息切れや疲労感の症状改善が得られるとされており、酸素療法は1日15時間を超える長時間の酸素吸入を行うと、重度の低酸素血症患者の生存率を高めると示されている。 本研究は、吸器疾患モデルを作成し、呼吸器疾患における横隔膜および四肢骨格筋のミトコンドリア機能障害と、並行して生じる炎症性サイトカインや酸化ストレスの変化を検証すること。さらに生体内酸素濃度に影響を与える高気圧・高濃度酸素環境暴露による単独効果と運動による併用効果を明らかにすることを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、昨年度に実施した呼吸器疾患モデルでの介入実験から得られたサンプルの分析を実施した。また、研究代表者の研究機関の異動により、当該研究で使用していた研究設備である酸素ルームの移設をおこなった。 本研究では、介入なしのシャム群、タバコ煙溶液を気管投与したCOPD群、同様のCOPDに加圧酸素療法を実施した酸素療法群、さらに酸素療法を実施しながらトレッドミル運動を実施した酸素運動群の4群を作成し、実験を実施した。実施後、横隔膜、ヒラメ筋、長指伸筋を採取し、PGC1α、ミトコンドリア転写因子A(mitochondrialtranscriptionfactorA:TFAM)、TNFα、IL6のmRNAをリアルタイムPCRにて分析した。 本研究課題の進捗としては、概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度から令和6年度にかけては、取得した実験サンプルに対し、組織化学的分析を実施し、解析を進めていく予定である。実験で得られたデータは、現在解析中であるが、知見が得られれば、今年度もしくは次年度に開催される国内、国際学会等にて公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に426,947円の繰越となった。これは、研究代表者の研究機関の異同により、実験室の整備において、未だ完全には整備できておらず、今後研究消耗品や試薬、分析キットなどを充当するために使用していく予定である。
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