2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of tDCS and IVES on corticospinal tract stimulation
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21K11234
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
河村 顕治 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40278974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 茂樹 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (40531447)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | tDCS / IVES / 電気刺激 / 皮質脊髄路 / 促通 |
Outline of Annual Research Achievements |
寝たきりの発生要因となる大腿骨近位部骨折の98%が転倒によって起こり高齢者の転倒の多くは歩行中に発生する。転倒のリスク因子としては歩行機能障害、筋力低下(サルコペニア)、バランス機能低下などが主な因子である。そこで大脳皮質興奮性を調整できる神経調整機能を持つ経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と、歩行時の下肢筋から計測した筋活動電位をスイッチとして筋電信号に比例した電気刺激を行うことができる随意運動介助型機能的電気刺激(IVES)を組み合わせることにより、歩行時の運動学習を促進するとともに筋力強化とバランス機能向上が可能となる新しいニューロリハビリテーションシステムを構築する。本研究では、tDCSとIVESを組み合わせた時に皮質脊髄路促通効果が最も高まるという仮説の下に、どちらもしない時を基準としてtDCSとIVESを組み合わせた時とtDCSに代わるシャム刺激とIVESを組み合わせた時の筋出力とバランス能力の差異を検討する。 令和3年度はパイロットスタディとしてtDCSとIVESを組み合わせた時の皮質脊髄路促通効果を精緻に検討するために、等尺性CKC下肢最大筋出力時の脚力および内側広筋の表面筋電図波形解析を行った。tDCSによる一次運動野刺激によって運動学習を促進することにより下肢全体の筋群を協調して筋力を発揮する能力が高まると予想した。そこで現有のIsoforce GT-330 (オージー技研)を用いて下肢全体の脚力を評価できる等尺性CKC下肢筋出力を計測した。さらに現有のNicolet Viking IV 筋電計および波形解析ソフトウェアを用いて内側広筋について筋電図波形解析を行った。その結果tDCSとIVESを組み合わせて刺激を行うことで筋出力を表すRMSが大きくなり、速筋成分のリクルートを表す平均周波数の増加が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にtDCSとIVESを組み合わせた時の皮質脊髄路促通効果を検討するシステムを構築してパイロットスタディを行う計画であったが、ほぼ計画通り達成することができた。 初年度予算で導入したウェアラブルtDCS装置(オージー技研・GD-800)で一次運動野刺激を行い、IVESによって下肢筋群の刺激を行った。下肢全体の脚力計測は現有のIsoforce GT-330 (オージー技研)を使用し、さらに現有のNicolet Viking IV 筋電計および波形解析ソフトウェアを用いて筋電図波形解析を行った。パイロットスタディとして等尺性CKC下肢最大筋出力時の脚力計測および内側広筋の表面筋電図波形解析を行った。 2年目以降は動的な運動時の効果を検証するために等速性CKC下肢最大筋出力時の分析と、歩行時の分析を行う計画とした。等速性CKC評価訓練機については、河村がこれまでに開発した試作機が吉備国際大学保健福祉研究所に設置してあり、等速性CKC運動時の足部出力を3軸ロードセルで計測することができる。初年度中に、現有の高解像度ビデオカメラで撮影した動画とロードセルの出力を同期して下肢3関節のモーメントを解析できるシステムを構築することができた。これによって、tDCSとIVESを組み合わせた時の皮質脊髄路促通効果が等速性CKC運動時の足部出力の大きさと膝関節/股関節モーメントの比率の変化として精密に分析可能となった。 歩行時の分析としては当初計画のたMAC 3D動作解析システム(Motion Analysis)および床反力計による解析と足圧分布計測機能を持つトレッドミルZebris FDM-Tによる解析に加えて、初年度予算で最新のビデオ規格に対応したビデオ式動作解析システムToMoCo-FPを整備することができたので、様々な解析が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、2年目以降にはtDCSとIVES刺激前後の静止立位重心動揺解析・歩行運動3次元動作解析とtDCSとIVES刺激前後の歩行運動の足圧解析を行う計画であった。 当初計画に先立って、初年度に等速性CKC運動の足部出力解析ができるシステムが構築できたことから、まずtDCSとIVESを組み合わせた時の皮質脊髄路促通効果が等速性CKC運動にどのような変化をもたらすかを分析することとした。等速性CKC運動時の足部出力は筋出力の変化によって大きさと出力方向が大きく変化するため、歩行運動に比べて変化が捉えやすいと考えるからである。 tDCSとIVES刺激前後の静止立位重心動揺解析・歩行運動3次元動作解析については、一般的な静止立位の重心動揺検査を行い総軌跡長等も求める。さらに本学に整備されたMAC 3D動作解析システム(Motion Analysis)および床反力計によりtDCSとIVES刺激を行う前後での姿勢制御および歩行運動の解析を行う。得られた運動データは、筋骨格モデル動作解析ソフトウェア nMotion musculousにて逆運動学解析・逆動力学解析を行い身体重心動揺の3次元的解析および筋張力シミュレーション解析を行う。 tDCSとIVES刺激前後の歩行運動の足圧解析については、現有の足圧分布計測機能を持つトレッドミルZebris FDM-Tを用いて、歩行時の連続した足圧および足圧中心(COP)を計測する。これまでの我々の研究ではバタフライイメージでCOP軌跡を出力して 評価すると、バランス能力の低下する高齢者では COP軌跡が若年者に比較して前方へ偏移することが判明している。さらに若年者でも母趾が接地しないいわゆる浮き指などが認められている。tDCSとIVES刺激を行う前後での足圧やCOP軌跡の変化を計測することで姿勢制御能変化の評価が行える。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] 保存療法中の変形性膝関節症患者を対象とした観察に基づく歩行異常性評価の構築に向けた研究 評価の項目特性,因子妥当性,併存的妥当性および検者間信頼性2021
Author(s)
山科 俊輔, 原田 和宏, 玉利 光太郎, 田中 亮, 山田 英司, 森山 英樹, 阿南 雅也, 京極 真, 河村 顕治
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Journal Title
理学療法ジャーナル
Volume: 55巻8号
Pages: 922-930
DOI
Peer Reviewed
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