2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K11242
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鬼頭 佳彦 佐賀大学, 医学部, 准教授 (60381787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 裕一郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (50530185)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸 / 便秘 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究の目的は、トレッドミル運動装置による運動トレーニングが慢性便秘マウスの大腸運動機能に及ぼす効果を解明することである。しかしながら、トレッドミル運動装置が漏電により故障したため、運動トレーニングの効果に関しては十分な実験を行うことができなかった。そのため、初年度の研究報告は低繊維食摂取が大腸の機能に及ぼす影響のみとなる。 1.C57BL/6マウス(雄性8週齢)に精製飼料あるいは低繊維飼料を与えて飼育した。マウスに低繊維飼料を摂取させると、7日目から糞便個数および湿重量が減少し始め、28日目では通常食群と比べて有意に減少し、便秘症状を呈した。 2.正常マウスと便秘マウスの遠位結腸を摘出し、細胞内誘導法にて自発性電気活動および経壁神経刺激により誘発される細胞膜の電位変化を測定した。 ① 正常マウスと便秘マウスのいずれの遠位結腸においても1分間に3~4回の群発性活動電位が発生していたことから、低繊維食摂取1か月による便秘が自発性電気活動に及ぼす影響、すなわち、カハール細胞および平滑筋細胞に及ぼす影響はほとんどないことが示唆された。 ② 正常マウス遠位結腸において経壁神経刺激を行うと、時間経過の早い抑制性接合部電位が記録された。次に、MRS2500(P2Y1受容体アンタゴニスト)存在下で経壁神経刺激を行うと、時間経過の遅い抑制性接合部電位が記録され、さらにL-NNA(NO合成酵素阻害薬)を追加して経壁神経刺激を行うと、興奮性接合部電位が記録された。また、この興奮性反応はアトロピンで消失した。便秘マウスにおいても、同程度の振幅の接合部電位が3種類記録された。したがって、低繊維食摂取1か月による便秘が遠位結腸の筋層間神経叢に及ぼす影響はほとんどないことが示唆された。 ③ 低繊維食摂取2か月による便秘マウスにおいても、上記①②と同様の結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
便秘モデルマウスの運動トレーニング用に使用していた5連式トレッドミル装置が故障したため。
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Strategy for Future Research Activity |
業者に問い合わせたところ、故障した5連式トレッドミル装置は修理不可であることが判明した。基盤Cの予算では新たに5連式トレッドミル装置を購入することは不可能であるため、今後は予算内で購入できる回転カゴによる自発運動を検討している。また、マウスに低繊維食を摂取させると約1か月で便秘症状を呈したが、低繊維食摂取2か月でも摘出大腸標本における電気的性質および筋層間神経叢の機能には変化が認められなかったことから、ヒトの慢性便秘状態に近づけるにはさらに長期間の低繊維食摂取が必要であると思われる。
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Causes of Carryover |
トレッドミル運動装置が漏電により故障したが、修理不可能であるため、トレッドミル運動装置に代わるものとしてマウスに自発運動を行わせる回転カゴを購入する必要があるため。
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