2021 Fiscal Year Research-status Report
An exploratory study on the relationship between exercise, physical activity and renal microcirculation in chronic kidney disease
Project/Area Number |
21K11243
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
古波蔵 健太郎 琉球大学, 病院, 准教授 (60359990)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 運動 / 身体活動量 / 腎微小循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腎生検を受けたCKD患者を対象に身体活動量や運動習慣と腎細動脈リモデリング、傍尿細管毛細血管 (PTC) 密度との関連や運動に関連して誘導される可能性があるVEGFやHIFについて組織レベルの発現、分布パターンを病理学的に検討する予定である。 2021年度はコロナ感染流行拡大による入院制限で患者リクルートが進まなかったこともあり、細動脈リモデリングに関連する基盤病態のスクリーニングとして炎症マーカー、酸化ストレスマーカー、腎内レニンアンジオテンシン系 (RAS) マーカーと細動脈リモデリングとの関連について、既存データを用いて解析を行った。レニン・アンジオテンシン系阻害薬内服者や細動脈病変に影響し得る血管炎などを除いた腎生検患者を対象に、細動脈リモデリングの指標としてwall to lumen ratio (WLR)を測定し一般的な臨床データの他、上記マーカーとの関連について検討を行った。腎内 RASの指標とされる尿中アンジオテンシノゲン(AGT)が様々な交絡因子とは独立してWLRに関連することを明らかにした。横断研究としての限界はあるが腎内 RASが腎細動脈の内腔狭小化を介して虚血性腎障害に関与しえる可能性が示唆された。この研究成果はJ Hypertens. 2022;40(4):650-657に掲載された。この研究成果は身体活動量と腎細動脈リモデリング、 PTCとの関連が今後の検討で明らかになった場合にその機序として腎内 RASの関与を検討することが重要である可能性を示唆するものである。また、既存データを用いて慢性腎臓病患者の身体活動量が、その後3年間の新規腎代替療法導入に関連することを明らかにして学会で報告した。身体活動量が腎臓のハードエンドポイントに関連することを示せたことで、その機序を明らかにすることを目的とした本研究の妥当性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は沖縄県が全国ワーストのコロナ感染流行拡大があったほか、院内で大規模なクラスターが発生し、本研究の対象者となる腎生検患者の入院が大幅に制限されたため、対象者のエントリーが進まなかったが、院内の入院患者の制限が緩和されたことをきっかけに従来通りの入院患者数になりつつある。検討項目のうち、身体活動量評価、栄養評価、血管機能評価、酸化ストレス評価等の体制も整って患者数を増やしつつある。一方で、既存データを用いて腎細動脈リモデリングに腎内レニン・アンジオテンシン系が関連することを明らかにして本研究の検討を進める基盤データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の検討から腎内 RAS が腎細動脈リモデリングに関連している可能性が示唆された。2022年2月に高血圧モデル動物で運動が腎内RASを抑制することで高食塩負荷時の糸球体障害や腎障害を軽減したことが他施設から報告された。この動物実験で示唆された運動による腎保護の機序としての腎内RASの関与がヒトにおいても関連があるのか検討する意義は大きい。前述の我々の検討において明らかになった腎内 RASと細動脈リモデリングとの関連と尿細管レベルで酸素供給に関わる傍尿細管毛細血管網の密度やその局所におけるVEGFやHIFとの関連に焦点をあてて解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
対象となる腎生検患者の入院がコロナ禍のために大幅に制限されたため、試薬や腎生検組織の特殊染色に用いる予定の各種抗体を購入していなかった。また、細動脈レベルの内皮機能検査として予定していたエンドパットの器機が修理のために使えなかったこともあり、患者毎にディスポで用いる消耗品の購入を行っていなかった。R4年度は腎生検患者の入院が従来通りのペースで戻ったため、上記の物品の購入に充てる予定である。
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