2022 Fiscal Year Research-status Report
新生筋線維の機能獲得過程:サテライト細胞が胎児型筋線維を経て成熟筋線維になるまで
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21K11249
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
山口 眞紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30271315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山澤 徳志子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00282616)
中原 直哉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10632193)
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20179675)
平野 和宏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40874821)
山内 秀樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60220224)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新生筋線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスにマーカインを注射することにより筋傷害を誘発し、新生筋線維の発育に伴う機能と構造の解析を行った。マーカイン注射後の筋重量は対側に比べて数日後には半分程度に減少したが、20日ほどかけて回復していった。6日目と12日目の筋を摘出し光学顕微鏡切片を作成し観察したところ、いずれの時期でも新生筋線維と考えられる中心核線維が多数観察された。そこでこれらの筋を生化学的に処理し電気泳動によりミオシンタイプを調べたところ、タイプ2A及び胎児型ミオシンからなるバンドとタイプ2Xとタイプ2Bからなるバンドが検出され、注射後12日目で胎児型ミオシンを含むバンド濃度が増強しており、新生筋線維は胎児型ミオシンである可能性が示唆された。そこで障害側の筋より単一筋線維を単離してスキンドファイバーを作成しカルシウム張力関係を調べた。単一筋線維は光学顕微鏡切片にて中心核線維が多数密集していた表層側から作製した。得られた結果から、障害側の筋線維ではカルシウム感受性は大きく変わらないが、協同性の指標であるヒル係数が減少している可能性が示された。一般に、遅筋ではヒル係数が小さいことを鑑みると、新生筋線維は遅筋タイプの張力特性を持つのかもしれない。最後に、傷害側の単一筋線維の微細構造の知見を得るために、つくば高エネルギー加速器研究機構にて二次元シンクロトロンX線回折像も取得した。回折像の取得はカルシウム張力測定とほぼ同一の環境にて生理活性を保ったまま実施した。回折像の解析は来年度に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マーカインにより傷害を与えた筋線維の構造・機能測定に重点をおいたためにサテライト細胞移植実験に着手できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
マーカインにより傷害を与えた筋線維の構造・機能測定を終わらせ、サテライト細胞移植実験に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
毒素注入による傷害筋の光学顕微鏡切片観察やシンクロトロンX線回折による構造解析およびスキンドファイバーの張力測定による機能解析に注力し、予定していた実験の一部が繰り越された。このための実験に使用を予定していた試薬や動物の購入費が次年度に繰り越された。次年度はこれらの試薬と動物の購入のために予算を使用する予定である。
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