2021 Fiscal Year Research-status Report
自発運動と強制運動がアルツハイマーモデル動物の認知脳機能に与える影響の研究
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21K11251
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
山木 幸子 金沢医科大学, 医学部, 特定技能員 (70837715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 伸郎 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10152729)
小野 宗範 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (30422942)
伊藤 哲史 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90334812)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 運動 / アミロイドβ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はアルツハイマーモデル動物(ADモデル動物)の認知機能評価の基礎となる脳内の病理学的変化と、行動の特徴の解析を行った。その結果、使用しているADモデル動物である3xTgマウスでは大脳皮質、嗅皮質、海馬、扁桃体、中脳、脳幹に広くアミロイドβの前駆体であるAPPが発現しており、その蓄積速度には部位による違いがあることが判明した。大脳皮質においてはAPPの蓄積に6カ月程度を要するのに対して、大脳皮質下領域では1~3カ月でAPPの蓄積が進んでいることが明らかになった。また大脳皮質でのAPPの蓄積には雌雄差が存在しメスではオスに対して2倍程度の神経細胞でAPPの蓄積が見られることが分かった。さらにAPPから誘導されるアミロイドβの細胞外蓄積は従来報告されていたよりも遅い9~12か月に海馬領域においてのみ始まることが明らかとなった。また電子顕微鏡でのシナプス構造の解析の結果、従来考えられていたようなシナプス数の変化は3xTgマウスにおいてみられず、抑制性シナプスの一部にのみ数量的変化が見られることが明らかとなった。これらの病理学的解析に加えて、従来ADモデル動物の空間記憶テストとしてよく用いられるモリス水迷路時の行動の特徴を機械学習を応用した動画解析アプリケーションによって詳細に解析した。その結果、3xTgマウスは野生型のマウスに比べて、うつ病様の症状に類似の行動パターンをとることが明らかとなった。これらの知見は現在原著論文としてまとめており、投稿を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、本研究計画で予定していた実験は順調に進んでおり新たな知見を多数得ることができたことから、進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2021年度に得られた3xtgマウスの脳神経病理および行動の特徴を基礎として、運動の与える認知機能への影響を精査していく予定である。そのために基本運動量の測定および運動用器具の準備を現在進めている。
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Causes of Carryover |
消耗品購入意図があったが、間に合わなかったため次年度で購入する。
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