2023 Fiscal Year Annual Research Report
痙縮の軽減を目的としたIa線維受容器の抑制とその効果に関する研究
Project/Area Number |
21K11260
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
李 佐知子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (80599316)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 痙縮 / PLDーmGluR / ptf1a / EN1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画として、大きく2つの実験計画を立てていた。一つはIa神経細胞の活動抑制による痙縮軽減効果について、もう一つは痙縮病態として知られている抑制性脊髄神経細胞の機能低下のメカニズムについてを明らかにすることである。 実験1については、Ia線維感覚終末部に発現するPLD-mGluR(PLD代謝型グルタミン酸受容体)の競合型アンタゴニストである (R,S)-3,5-dihydroxyphenylglycine (DHPG)を脊髄損傷痙縮発症マウスの痙縮筋に持続投与する実験により以下の3点について確認できた。①DHPGの持続投与脊損マウスとVehicle脊損マウスと比較すると、痙縮評価として利用したHoffman’s反射の速度依存性減弱(Rate dependent depression:RDD)の弱化の正常化傾向を確認した。つまり、DHPGにより痙縮症状の緩和を確認した。②痙縮により生じるIa軸索終末部とalpha運動神経細胞との過剰なシナプス接続が正常化した。②一方、DHPG投与による運動障害の回復は見られず、またalpha運動神経細胞の活動性にも影響しないことを確認した。当初計画していた実験については全て確認でき、現在英文論文への投稿準備を行なっている。 実験2において、痙縮病態としての脊髄抑制性神経回路の機能低下について、特に以下の2点が痙縮時に機能低下していることが報告されている。一つは脊髄alpha運動神経細胞に投射するIa軸索終末に接続するプレシナプス抑制、もう一つは痙縮拮抗筋からの相反抑制である。両者ともに遺伝子組換えマウスが目的にあった機能をしておらず、計画していた実験が行えなかった。他の組換えマウスを導入するとともに、免疫組織染色を利用して解析を継続している。
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