2022 Fiscal Year Research-status Report
オクタン酸トリグリセリドを用いた呼吸不全カヘキシア包括的治療法の開発研究
Project/Area Number |
21K11264
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松元 信弘 宮崎大学, 医学部, プロジェクト研究員 (70418838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 康晴 宮崎大学, 医学部, 助教 (90843235)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オクタン酸 / 呼吸リハビリテーション / 呼吸不全カヘキシア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の概要で臨床試験を企画し、倫理委員会の承認を得た。 文書によって同意を得られた患者、または文書の公示を以て異議申し立てのない対象患者の臨床情報を電子カルテから収集し、血液の保存があれば用いる。対象となるのは、慢性呼吸器疾患の進行により慢性呼吸不全を来し、BMI < 22となった患者、栄養障害に対して経口栄養剤またはリハビリテーションを処方された患者である。収集する臨床情報は、患者基本情報(年齢、性別、喫煙歴、基礎疾患、パフォーマンスステイタス)、身長、体重、除脂肪体重、握力、6分間歩行試験歩行距離、血液ガス分析結果である。血液検査として、総蛋白、アルブミン、総コレステロールやプレアルブミン、トランスフェリン、レチノール結合蛋白、グレリンの結果を収集し、保存血液があればそれを用いて測定する。主要評価項目はリハビリテーションや経口栄養剤使用前後での体重の増加とし、副次的評価項目は、1)運動耐容能 (6分間歩行試験の歩行距離)、2)除脂肪体重と握力の増加、3)血液検査における栄養評価項目(総蛋白、アルブミン、総コレステロールやプレアルブミン、トランスフェリン、レチノール結合蛋白、グレリン)の改善とした。本研究は多施設共同研究とし、国立病院機構宮崎東病院を共同研究機関とした。 本研究は呼吸不全カヘキシアに対する今後の栄養補助とリハビリテーション介入研究の基礎データを得るための研究であり、研究期間内に無理なく登録できると考えられる20症例を目標症例数とした。また、症例登録に当たっては、前向きの登録と後ろ向きの登録の両面から実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、慢性呼吸不全によって不可逆的に進行していく呼吸不全カヘキシアの予防と進行抑制を目的に、摂食亢進、エネルギー同化、抗炎症、心血管保護など抗カヘキシア作用を有するグレリン産生を誘導するオクタン酸トリグリセリドを 口的に投与し、呼吸リハビリテーションとElectric Muscle Stimulation(EMS)による下肢筋力トレーニングを合わせたmultimodalityな新規治療の確立を目標としている。これに先立ち、経口栄養剤を投与した患者での臨床情報、呼吸リハビリテーションにEMSを取り入れた患者での臨床情報の取得が欠かせない。これらを目的とした臨床研究を企画し、倫理委員会から研究実施の承認を得た。本研究の進捗としてはおおむね順調と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、前向きの症例登録と後ろ向きの症例登録の両方を実施する。コロナ禍は収まりつつある状況であるが、様々な診療分野で医療機関への受診抑制は持続している現状である。慢性呼吸不全によるカヘキシアを来している患者においてもコロナ前と比較すると受診者数は少ない。前向き症例登録で不足する症例登録数を後ろ向き症例登録で補い、解析することで本研究の目的を達成することができる。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍の影響もあって、感染リスクを避けつつ、研究計画の立案を確実にするため、研究打ち合わせや研究発表に関する出張を行わず、ウェブ会議で代行できるものはZoomなどを利用してきた。このため、旅費への支出が少なく次年度使用額が生じる大きな要因となった。現在、コロナ禍も収まりつつあり、学会への参加も現地への出張が増えてきている。また、本研究の臨床試験も本年度末に倫理委員会より承認を得ることができたため、症例の前向き登録と後ろ向きデータ収集を開始する。次年度の予算執行にあたって大きな問題はないと思われる。
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