2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on dynamic structure sites and motor disturbance of peripheral nerve
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21K11275
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
齊藤 百合花 帝京科学大学, 医学教育センター, 准教授 (00530099)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 蛋白複合体 / シュミットランターマン切痕 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
運動時に筋肉へ電気信号を伝える末梢神経にのみ存在するシュミット・ランターマン切痕(以下、切痕)を主体にミエリンの顕微鏡で認める構造変化と実際の運動障害の関連性を明らかにするために、本研究開始時には切痕の構成蛋白の欠損による運動障害への検討と切痕への動的影響に関する検討を行う予定であったが、研究進行過程で解析中の蛋白が末梢神経系のみならず中枢神経系にも認められたために、当該年度では中枢神経系での検討を追加して実施した。 その結果、切痕に局在し運動障害を引き起こす可能性を示唆していたCADM4-4.1G-MPP6-Lin7蛋白複合体のうち、MPP6が分類されるMPPファミリーが中枢神経系である大脳や小脳の神経細胞のシナプスに切痕と似た蛋白複合体を形成して局在することが明らかとなった。 MPP6についてはMPP6欠損マウスの行動解析により、恐怖心の減弱傾向がみられた。また、同ファミリーのMPP2についても大脳や小脳に局在することが明らかとなり、特に不随意運動に関与する小脳においての局在を検討したところ、末梢神経の切痕と同様にLin7と蛋白複合体を形成し、MPP2の欠失によりLin7の局在が変化することが明らかとなった。さらに、同ファミリーのMPP7についても中枢神経系や末梢神経系に局在の可能性がみられたことから、MPP7欠損マウスを作製して解析を実施する予定である。 また、当初予定していた末梢神経系での切痕への動的影響に関する検討としては、予定通り4.1G欠損マウスにおいて、生体内凍結技法により末梢神経の弛緩時と伸展時の状態を維持した試料作製を終え、解析を進めている状況であり、切痕に局在する複合蛋白に関わりそうな別の蛋白についても、スクリーニング的に検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
末梢神経に限った研究を計画していたが、蛋白複合体形成分子を扱う上で、運動機能に関与する中枢神経系の神経細胞への分子の発現が明らかとなってきたため、中枢神経系の影響についても検討する必要が出てきた。 そのため、中枢神経系の検討を行ったために当初の計画からは遅れて進行しているが、予定外であった中枢神経系の解析については新たな蛋白複合体を明らかにできた等、解析は進んでいる。 また、当該前年度では当初の計画における試料作製について難航していたが、当該年度では試料作製問題を解決し、遅れてはいるものの予定通りには進行しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
Covid-19等の影響が再び発生してマウスの提供先での検討が行えない場合は、提供先の研究者に共同研究として試料を送付してもらうことも検討する。 マウスの提供先で予定通り実施できるようであれば、予定通り進行する。 また、当初からは予定外ではあった中枢神経系の検討については続行し、中枢神経系および末梢神経系に関わる可能性があるために新たに作製した欠損マウスについても加えて検討を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に抗体作製を依頼したが、請求が当該年度中に間に合わなかったため、次年度使用額が生じている。予定通り次年度に全て使用予定である。
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