2021 Fiscal Year Research-status Report
2レーン式トレッドミルを用いた転倒予防練習の運動解析と治療アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
21K11277
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
脇田 正徳 関西医科大学, リハビリテーション学部, 助教 (70890888)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者 / バランス / 転倒予防 / 運動解析 / 予後予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の転倒予防は、健康寿命の延伸において重要課題である。我々はこれまでに、地域在住の虚弱高齢者を対象にして2レーン式トレッドミルを用いたバランストレーニング(DTトレーニング)を行い、従来の歩行バランス練習よりも応用的なバランス能力が有意に改善することを明らかにした。しかし、DTトレーニングによって、運動パフォーマンスがどのように変化するのかは未解明であった。そこで本研究の目的は、DTトレーニングによる運動パフォーマンスの変化を定量的に解析し、トレーニング効果を予測するためのモデルを作成し、かつトレーニング効果を最大限に高めるための治療アルゴリズムを開発することとした。 トレーニング中の運動パフォーマンスを解析するにあたり、マーカーレス式三次元動作解析装置を用いた計測環境を整備した。また、高齢者のトレーニング効果を予測するためのモデル作成に向けて、健常高齢者60名を対象にDTトレーニングを1回(3分×4トライアル)実施し、トレーニング中のパフォーマンス計測を行った。健常高齢者のパフォーマンスについては現在解析中であるが、バランス能力やトレーニングへの適応能力を特徴づける指標を検出し、これらを予測モデルに組み入れる予定である。 さらに、通所リハビリテーションを利用している虚弱高齢者の身体機能の特徴を明らかにするための基礎データとして、これまでのアウトカムデータを用いて虚弱度(frailty)と運動・認知機能の関係について調査した。その結果、虚弱高齢者ほど運動療法による利得が大きいことが明らかになった。 今後は通所リハビリテーションを利用している虚弱高齢者を対象にDTトレーニングを週1回、12週間実施し、パフォーマンスの変化を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トレーニング中の運動パフォーマンスを安全に計測できるように、マーカーレス式三次元動作解析装置を用いた計測環境を整備した。また、予測モデルに必要となる健常高齢者の運動パフォーマンスを60例計測し、併せて応用的バランス能力指標であるCommunity Balance and Mobility Scaleを測定した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は通所リハビリテーションを利用している虚弱高齢者を対象にDTトレーニングを週1回、12週間実施し、運動パフォーマンスの縦断データを蓄積する。現在解析を進めている健常高齢者のパフォーマンス指標の抽出も行いつつ、DTトレーニングによる運動パフォーマンスの変化と健常者との違いを明らかにし、機械学習によってトレーニング効果を予測するためのモデルを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は通所リハビリテーション施設でのトレーニング、運動解析が実施されなかったため、環境整備やデータ計測、管理に伴う費用が計上されなかった。次年度は通所リハビリテーションでの計測が主となるため、これらの費用を執行する予定である。また、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、情報収集のための出張等にかかる旅費が発生しなかった。次年度には情報収集や成果発表のための学会参加等、今年度当初予定分の執行が見込まれる。
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