2021 Fiscal Year Research-status Report
感覚障害に対するリハビリテーションの効果判定に利用できる定量的・客観的指標の開発
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21K11289
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村田 潤 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (00304428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
古後 晴基 西九州大学, リハビリテーション学部, 准教授 (90640821)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 手指感覚 / 手指皮膚血流量 / 手指触圧覚感覚閾値 / 点字解読作業 / 健常者 / 加齢性変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,高齢者と若年者の手指感覚識別時の循環動態,および手指感覚閾値を比較し,加齢による手指循環調節能と手指感覚機能変化について検討した. 研究対象は女性高齢者20名(78±8歳),および若年者23名(23±6歳)であった.手指感覚識別課題として,右手示指を使用して机の裏面に設置した点字プレート(幅3mm,高さ1mmの凸の配列)の凸がいくつあるかを数える課題を実施した.この課題施行時にみられる手指皮膚血流量(レーザー血流計)および心拍数,血圧の変動を測定した.実験で得られた血流量データは,作業開始前の安静時のデータを100%として作業課題遂行時の変化量を比較した.また,手指感覚閾値の測定にはSemmes-Weinstein Monofilamentsを使用し,高齢者と若年者のデータを比較した. 高齢者群の手指感覚閾値圧覚閾値(log10force)は平均で3.31±0.61であり,若年者群の2.53±0.17よりも高い値を示した.手指感覚識別時の手指皮膚血流量変動は,高齢者群で平均-6±6%と少ない変動であったのに対して,若年者群では識別中に平均で-15±13%程度まで減少した.また手指血流量の経時的変動において,若年者群は識別中の血流変動が速く起こるのに対して,高齢者群ではゆっくりと変動した.この影響は,両群における最大変動値到達時間の差にも表れた. 本研究結果より,手指圧覚閾値は加齢による影響を受けて低下する.一方で,感覚識別時の手指血流量は,若年者において著しく減少するのに対して,高齢者では少ない反応しか起こらず,また両群の感覚識別時の血流調節応答速度に違いがあった.これらの結果から,加齢による自律神経機能の低下が感覚識別時の手指血流量変動を減少させたと考えられた.また,この手指循環調節能の減弱は高齢者の感覚機能にも影響を及ぼしている可能性が示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計測システムを開発し,手指感覚識別時にみられる手指循環動態の加齢性変化について検討することができた.しかし,データサンプル数が少なく,関連性に関する検討が今後の課題として残されている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,データサンプル数を追加して加齢性変化の関連性について検討するとともに,感覚障害を呈する被検者のデータを収集し,循環調節能と感覚識別能力の関連性に対する感覚障害の影響について検討する.
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Causes of Carryover |
本年度は,新型コロナ感染状況の変化のため予定していた一部の被験者を対象とした実験ができなかった.また,近隣施設の協力を得てデータの一部を計測できたため,予定していた研究消耗品や研究旅費が過少となった.次年度は,研究対象者の数を増加して実施する.実験遂行に必要となる計測機器の消耗品,被験者謝金,および研究成果発表のための旅費等を計上する.
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Research Products
(4 results)