2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of manufacturing method of orthosis using carbon fiber reinforced thermoplastic
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21K11294
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
早川 康之 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (30348601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村原 伸 北海道科学大学, 保健医療学部, 講師 (10726251)
瀬野 修一郎 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 研究主任 (10743411)
山岸 暢 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 研究主幹 (30469689)
太田 佳樹 北海道科学大学, 工学部, 教授 (50233151)
可児 浩 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 主査 (60469690)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック / 障害者 / 装具 / プラスチック成形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、CFRTPを用いた装具支柱の成形方法を確立し、障害者の身体形状に合わせ、軽量で機能的なCFRTP製装具を提供することにある。本研究では、装具に適したCFRTP製支柱と装具製作のための二次加工用成形機器を開発し、小規模な装具製作所を想定した実験環境下で、実用性の評価を行うことを目的としている。2021年度は、以下について目標を立て、研究を実施した。 1.CFRTP使用樹脂について成形性、加工性について検討を行い、装具金属支柱に代替できる機械特性を持つCFRTPを決定する。 2.小規模な実験環境下で、装具製作施設内にある既存の機器に追加導入することで成形可能な加圧成形ができる成形機器を開発し基本構造を決定する。 3.一次成形CFRTP支柱と、1,2により製作した二次成形(加熱後の再加圧成形)後のCFRTP支柱の機械特性について比較するとともに、二次成形での装具への加工方法について検討する。 CFRTPのマトリックス材として、複数の熱可塑性プラスチックを挙げて検討したが、熱成形温度、強度から、アクリル樹脂を用いることにした。アクリル樹脂のメリットとしては、接着による固定も可能なことから、装具支柱と装具本体の固定方法が容易となることも期待できる。さらに、一次成形時の、温度、加圧量、積層厚と積層枚数について検討し、曲げ強度、曲げ弾性係数の高い成形方法についてまとめることができた。また、二次成形機器の開発では、当初電気炉から出したCFRTP支柱に0.6MPaでの圧空成形を行うまで90秒以上かかっていた工程を、機器の改良により、約15秒にまで短縮することができた。これによる効果は大きく、二次成形支柱の強度を一次成形の9割以上になるまで高めることができた。当初は、真空成形と圧空成形の両面からの成形を検討していたが、圧空成形に限定することで、良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の目標は、支柱材料としてのCFRTPの決定と、二次成形方法の方針決定、およびJIS規格の試験での二次成形CFRTPの機能評価であった。CFRTPのマトリックス材については、軟化温度230℃のアクリル樹脂で進めることにした。二次成形後の、JIS試験に対応した試験片を作成するための、小型成形機器についての開発を実施し、機器の改良を進め、実用的な成形方法を確立した。作製した二次成形CFRTP支柱の強度比較は、12月末までに、一次成形材料の9割ほどの強度を有する良好な結果を得ることができた。 そこで、2022年度に実施予定であった、下肢形状を対象として、簡便に安定した成形ができるCFRTP成形機器の開発について、先行して進めることができ、試作機器を作製し、成形を実施した。単純に機器が大きくなるだけで、成形は可能と考えていたが、圧空成形時に、モデルに密着させるシリコーンシートの伸び率が大きくなり、破断するトラブルが発生した。原因は明らかとなっているため、現在、成形機器の仕様の改良について、共同研究者と検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、当初の予定通り、実際の装具製作施設にあるプラスチック軟化用電気オーブン、及びエアコンプレッサを利用し、下肢形状を対象として、簡便に安定した成形ができるCFRTP成形機器の開発を進める。2021年度に明らかとなった成形機器の問題点については、圧空部分のシリコーンシート設定方法と、シリコーンシート材料を変更することで可能と考えている。また、2021年度後半に製作した成形機器のサイズは、小児の下肢への対応が可能であったが、2022年度は、成人の下肢(下腿)の成形が可能なサイズまで大きくすることを目標としている。あわせて、CFRTP支柱と、金属の足継手部(固定足関節頭)との接合方法について検討し、JIS T9214(金属製下肢装具用足継手)の規格に合格することを目標とする。装具のJIS規格には、支柱のみのものはなく、特に下肢装具では、足継手の強度としての工学的試験評価が求められているため、既に合格している既製品の金属支柱部分にCFRTP支柱を置き換えて、安全性について確認を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度は2020年からの新型コロナウイルス蔓延により、研究調査のための学外出張を控えたため、旅費の大幅な削減となった。研究調査ができないデメリットの解消のため、共同研究者とのweb会議により、研究内容の精査を行い、二次成形機器の製作について、十分な検討を行い、支出を振り替えた。一方、2022年度には、実際の装具製作を目標にした二次成形機器の改良を行う予定であり、次年度使用額にあげる金額は、これにあてる予定である。
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Research Products
(1 results)