2023 Fiscal Year Annual Research Report
新生児脳症モデルの長期予後への低体温と成育環境の影響の時系列行動実験解析
Project/Area Number |
21K11302
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
細野 剛良 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (60294104)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ステロイド脳症 / マウス / 高環境温度 / 低環境温度 / 行動実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト新生児へのステロイド療法による新生児の運動・知能への環境温度の影響を評価するために、マウス・モデルを用いて、出生3~5日齢のSlcddYマウスにベタメタゾンを0.5mg/体重(g)投与し(対照群)生理食塩水のみの投与、その後120分環境温度39℃(高温群)、35℃(正常温群)、または32℃に3時間おき、その後、母獣に戻した。母獣に通常通りマウスを保育させたが、新生仔マウスへのステロイドの投与を原因とするマウスの死亡は見られなかった。生後3週目より水平棒の懸垂テスト、電撃刺激への受動回避テストを実施したところ、ステロイド投与後39℃においた高温群において、受動回避テストの成績の低下と懸垂テストの成績の悪化がみられたが、35℃においた通常群、32℃においた低温群では、懸垂テスト、受動回避テストの成績の悪化が認められなかった。 すべてのマウスにおいて、生後10週までに上記の行動実験を完了し、計測終了後に深麻酔下にマウスの脳を取り出してアルコール固定の状態にて保管した。組織固定の完了後、それぞれのマウス脳について垂直断の薄切切片を作成し、大脳、海馬を含む断面のヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)の組織標本を作製し、海馬、大脳皮質の大きさを評価した。 最終年度には、行動実験において、新生児期にステロイド投与した群の成績の悪化が見いだした。組織標本の光学顕微鏡による検討では、大脳幅、海馬幅、細胞数の分布には有意な差異は見いだせなかった。 早期新生児期のステロイド投与し、高温環境におくことによって、運動能力の低下が生じるおそれがあるが、ステロイド投与後に脳低温とすることにより、その影響を軽減することができる可能性が示唆された。新生児へのステロイド投与の後には、ステロイド脳症を避けるために、脳低環境温度下におく有用性が示唆された。
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