2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of preoperative rehabilitation and nutritional support program for improving treatment outcome of elderly gastric cancer patients
Project/Area Number |
21K11311
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 和義 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70528637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 幸典 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10470197)
西塔 拓郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20646468)
山下 公太郎 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (20747159)
高橋 剛 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50452389)
田中 晃司 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (70621019)
牧野 知紀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80528620)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リハビリテーション / アプリ / 筋肉量 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年4月より本研究を始動した。 2021年4月から11月までは、外来患者に対するスマートフォンを用いたリハビリテーション(以下リハビリ)を導入するために、使用するアプリの選定を行い、患者の身体機能、筋力に応じたリハビリメニューを作成した。アプリは「リハサク」というスマートフォンやパソコンを介して、患者さんに独自の運動メニューを処方できるものを導入した。リハビリメニューは、ADLが低下している高齢者でも(座ったまま)出来る「低」、普通の高齢者を対象とした「中」、運動習慣のある高齢者(とくに男性)を対象とした「高」を作成した。2021年12月から2022年3月までに23例の外来通院中の胃癌患者に「リハサク」によるリハビリテーションを提案した。リハビリテーションの効果は、以下の項目を3週間ごとに評価することとした。①体組成計(BIA法)による体重、筋肉量、脂肪量、②握力、③血中Cre/シスタチンC比など血液検査項目。23例中10例(43.5%)が「リハサク」をダウンロードし、リハビリの処方を受けた。処方されたリハビリは「低」が2例、「中」が7例、「高」が1例で、「中」のうち1例が「高」に、1例が「低」に経過中に変更した。6週間以上リハビリが継続できた症例は5例で、BIA法を用いた筋肉量はリハビリ前が 38.2kg、開始後3週間が38.3kg、6週間が38.5㎏と若干の増加を認め、脂肪量は7.9kg、7.7㎏、7.2㎏と若干の減少を認めたが、いずれもわずかであった。握力は24.5kg、24.5kg、24.5㎏、筋肉量のマーカーとされるCre/CysC比は0.74、0.80、0.75と著変は認めなかった。今後は、さらに症例を集積し、より長期でのリハビリ効果の評価を行うことと、リハビリ実施状況による効果の違いなどを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃癌患者を含め、癌患者において筋肉量の減少ならびにサルコペニアは治療合併症の増加、予後悪化につながることが多数報告されている。筋肉量増加のためにはリハビリテーションと栄養介入、薬剤投与の3つのアプローチがあるが、とくにリハビリテーションが重要と考える。しかし、大学病院をはじめ多くの病院では理学療法士の数が十分ではなく、入院患者や様々な併存疾患を有する症例にマンパワーが取られ、通院している胃癌患者に対しては、手が回っていないのが現状である。それを打開するために本研究では、令和3年度に「胃癌患者に対するリハビリ介入法を確立」し、「患者登録を開始する」ことが目標であったため、この点については、①使用するスマートフォンアプリ「リハサク」を選定し、対象者の運動機能や筋力に応じた3パターンのリハビリメニューを作成した、②「リハサク」を患者さんにダウンロードしてもらい、適切なリハビリメニューを処方するノウハウと、実際どの程度リハビリが出来ているかのモニタリングシステム、リハビリの効果を評価する観察項目が確立したため、令和3年度の計画は予定通りであったと言える。スマートフォンを持っていない方や持っていても使いこなせない方、仕事を含めて普段からからよく体を動かす方は、リハビリを導入しないことを選ばれるため登録症例数が不十分であるが、引き続き症例集積を行っていき、多数例でのリハビリ効果の検証を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に開始した「スマートフォンアプリを使用したリハビリの導入」により、外来通院中の胃癌患者に対しても、アプリのダウンロードと使用方法が記載されたマニュアルを手渡すことで時間と人手をかけずにリハビリを処方するノウハウが確立した。しかし、栄養介入については十分では無かった。今後は病院管理栄養士とも連携し、体重あたり十分なエネルギー(28kcal/kg以上)・タンパク質(1.2g/kg以上)の摂取、ロイシンやHMBなど筋肉合成を促進する栄養剤の推奨など栄養介入の強化を行っていく。また、筋肉量の測定はBIA法を用いて行っているが、全体の筋肉量、脂肪量のみで評価しており、身体の部位別の評価には至っていなかったため、今後はより緻密な代謝や筋肉量のモニタリングを追加したい。令和4年度はさらに患者臨床データや血液サンプルを用いて、リハビリによる筋肉量の増加に伴う変化、とくに腫瘍進展が抑制されるのか、薬剤感受性が改善するのか、もしそうであればそれに関与するメカニズムの解明について、研究を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続いており、実験・研究の進捗に遅れが出ているため
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