2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of effective rehabilitative measures for cerebellar ataxia using eye-hand coordination and adaptation
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21K11317
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
寺田 さとみ 杏林大学, 医学部, 助教 (40779807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 祐基 杏林大学, 保健学部, 講師 (50612587)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小脳 / 眼球運動 / サッケード / リーチング / 順応 / 神経変性疾患 / 脊髄小脳変性症 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄小脳変性症は根治治療が現状では困難であり、症状改善についてリハビリテーションへの期待は大きい。一方、リハビリテーションでの運動学習には運動誤差を修正する順応機能が重要で、小脳の関与が示唆される。本研究の目的は、小脳障害における順応機能の評価と運動失調改善法の可能性を探ることである。 本研究は、次の5つを段階的に進めていく予定である。①リーチング課題で眼球と指の協調関係を健常者と患者、対照疾患患者の比較 ②ブロック積み上げ課題での3次元的解析 ③眼球運動の適応課題での健常者と患者、対象疾患患者の比較 ④眼球運動の適応により上肢運動が改善される手法の開発 ⑤小脳に対する連続磁気刺激で眼球運動の適応や上肢運動への影響を確認し、機序解明あるいは改善方法の開発 今年度は前提となる脊髄小脳変性症疾患の眼球運動についての論文を発表した(Inomata-Terada S et al. Clin Neurophysiol. 2023(10);154:70-84)。眼と指の協調については、脊髄小脳変性症においても健常者と同様、先行して動く眼球運動の正確さと指運動の正確さの間の空間的な相関関係が保たれる一方で脊髄小胞変性症では眼球と指の動き始める時間の間隔が延長しタイミングがばらつく。運動誤差の与え方によっては小脳疾患であっても順応が保たれている可能性があるためリハビリテーションへの応用を検討する。パーキンソン病との比較により小脳特有の機能の知見が深まった。遺伝子解析された純粋小脳型脊髄小脳変性症における眼球と上肢の運動あるいは適応について、基礎的な知見を得つつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の5つの方策のなかで、①は概ね順調に進んでいる。修正解析ソフトウェアを作成、データ解析をし直し論文作成中である。②のブロック積み上げ課題などでの三次元的な計測に関しては、磁気式3次元的位置計測装置の不具合などがあり、機器調整中でありまだ検討できていない。③の脊髄小脳失調症症例や対照疾患症例の蓄積を行っているが、脊髄小脳変性症症例がもともと多くないこともあり、もう少し症例数の蓄積が必要である。対照疾患のパーキンソン病患者の計測・解析を進めた。先般のコロナ感染拡大の状況の中では症例の計測が行いにくく、症例数の蓄積に時間がかかっている。⑤小脳への磁気刺激の難点をどのように解決するかを考案中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画のなかで、今後は④眼球運動の適応により上肢運動が改善される手法について、適当な課題を考案し、上肢運動の改善の有無を評価できるかどうか検討していく予定である。⑤小脳に対する連続磁気刺激により眼球運動の適応や上肢運動への影響を確認し、機序解明あるいは改善方法の開発について。小脳への刺激は、磁気刺激を含めて確立された方法が未だない状況である。磁気刺激を予備的に行ってみると、コイルの形状の特性から刺激できる部位に制限があること、また特に厚い骨に囲まれている後頭部で深部への刺激が難しいとされ磁気刺激強度が強くならざるを得ず、コイルの過熱により刺激時間が長くできないこと、など問題点が明らかになってきたため。今後はtDCSなど他の刺激方法についても検討する。症例蓄積中の③については、コロナ感染拡大状況に注意しつつ、引き続き計測と解析を続け、解析結果をまとめていく予定である。②については、機器調整の必要があり、得られるデータが膨大で解析方法に工夫が必要なことから、他の方策を先に進めていくことを考えている。
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Causes of Carryover |
計測したデータの解析ソフトの改良や論文の作成を優先し、磁気式三次元的位置計測装置の不具合の調整ができず、今年度はそれに関連するソフト開発予算を使用しなかった。コロナ感染拡大状況のなか他院からの患者さんの計測を控え、その交通費の支出がなかった。また、今年度は対面式が増えたものの、昨年度までは所属大学の方針で学会参加が基本的にオンライン形式であったこともあり、旅費の支出が減少した。次年度は、論文作成を引き続き進める一方、新たな課題作成や解析ソフト開発に使用する予定である。
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[Presentation] 脊髄小脳変性症における、眼と指の時間的協働における眼の役割2023
Author(s)
寺田さとみ, 市川弥生子, 冨樫尚彦, 高橋祐二, 徳重真一, 内堀歩, 松田俊一, 濱田雅, 長谷川一子, 辻 省次, 宇川義一, 寺尾安生
Organizer
第53回日本臨床神経生理学会学術大会