2021 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中片麻痺患者における方向転換時の転倒の諸要因とリスク軽減の研究
Project/Area Number |
21K11324
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
三上 章允 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40027503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠野 由布子 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (00512823)
藤田 良樹 社会医療法人大道会(神経リハビリテーション研究部), 神経リハビリテーション研究部, 研究員 (40869723)
山田 良 社会医療法人大道会(神経リハビリテーション研究部), 神経リハビリテーション研究部, 研究員 (70817098)
千鳥 司浩 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (80454297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 姿勢制御 / 転倒 / 方向転換 / 脳卒中 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中片麻痺患者は、しばしばベッド・車椅子間の移乗動作、歩行時の方向転換などの日常動作場面で立位バランスが不安定になることを経験する。その様な場面では、視線の移動、頭部の回旋、体幹の回旋が立位バランス不安定の契機となっていることが多い。そこで、本研究では、方向転換時に姿勢を安定させるために健常者がどのような戦略をとり、また、脳卒中片麻痺患者では健常者とのどのような違いから転倒リスクが高まるかを明らかにすることを目的としている。令和3年度は、研究遂行に必要なシステム構成を実現し動作確認を行った。その後、健常者を対象に、開眼、閉眼、急速眼球運動(左右、20度、30度、40度)、頸部回旋(左右、20度、30度、40度)、体幹回旋(踏み直しなしの体位回旋、左右、20度)、立位方向転換(踏み直しあり、同じ位置での体位回旋、左右、45度、90度)の各条件で重心動揺、額部・胸部・腰部・左右大腿部の加速度変化、3次元動作、眼球運動および脳血流を測定した。平成3年度は立位条件で水平方向に移動のない条件であったため、眼球運動の記録には、有線の眼位測定装置を借用して実施した。立位方向転換時の加速度、3次元動作、眼球運動、脳血流の同時記録が計画通り遂行できることを確認した。また、健常者では、頭部の回旋方向と逆方向に重心動揺が起きること、頭部の加速度変化が増加しても腰部の加速度変化はそれに比例して増加しないことなどが確認できた。これは、健常者で何らかの緩衝作用が働いて頭部の変化が重心動揺につながることを防いでいるものと考えられる。今後、脳卒中片麻痺患者での計測・比較が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、健常者および脳卒中片麻痺患者を対象として立位条件で基礎データを取得する予定であった。しかし、新型コロナ・ウイルス感染症の蔓延で、協力病院への部外者立ち入りが禁止となり、さらに、病院内の研究分担者がコロナ・ウイルスに感染するなどの予期しなかった事態が発生し、当初の計画の実行が困難であった。そのため、研究遂行に必要な最低限のシステム構成を実現し、健常者を対象として、方向転換時の加速度計測、3次元計測、眼位計測、脳血流記録を行い、方向転換時これらの装置の同時記録が計画通り遂行できることを確認するとともに、健常者の基礎データを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,前年度に予定していた脳卒中片麻痺患者を対象としと立位条件での基礎データの取得を目指す。測定条件は、開眼、閉眼、急速眼球運動(左右、20度、30度、40度)、頸部回旋(左右、20度、30度、40度)、体幹回旋(踏み直しなしの体位回旋、左右、20度)、立位方向転換(踏み直しあり、同じ位置での体位回旋、左右、45度、90度)の各条件で、重心動揺、額部・胸部・腰部・左右大腿部の加速度変化、眼球運動および脳血流を同時記録の予定である。また、健常者の立位条件でのデータを増やす予定である。
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Causes of Carryover |
方向転換動作中の視線移動を、3次元動作、重心移動、身体部位の加速度変化、脳血流とともに同時測定するために、当初計画では無線タイプの眼位測定装置を令和3年度に購入する計画であった。しかし、予定していた眼位測定装置が高価であり、補助研究費の予算内で研究目的を達成するためには更に安価な方法を探す必要性が生じた。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延で病院内での研究計画が予定通り遂行できなかった。そこで、令和3年度中は立位での方向転換を測定することとし、有線仕様の眼位測定装置を他部門から借用して目的を達した。最終的には、歩行中の測定を計画しており、そのためには無線仕様の眼位測定装置を必要としているので、令和4年度は、無線仕様の眼位測定装置をリースで導入するか、安価な装置を再度探し購入するか、いずれかで方法で歩行条件での眼位測定を実現する予定である。
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