2021 Fiscal Year Research-status Report
野球投手における繰り返しの投球後からの身体反応と運動機能
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21K11340
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Research Institution | International Budo University |
Principal Investigator |
笠原 政志 国際武道大学, 体育学部, 教授 (10535496)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 野球 / アイシング / 投球パフォーマンス / クレアチンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は普段から投球している現役野球投手を対象とした場合における投球後に実施する肩関節のアイシングが、その後の生体反応と投球パフォーマンスに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした実験を実施した。 対象は投球障害などの既往歴がない大学野球現役投手11名とした。実験デザインは大学野球におけるリーグ戦を想定し、3日間のうち1日目と3日目に投球する設定とした。投球条件は16球×5イニング(80球)の全力投球を実施した。実験条件は、投球後に肩関節をアイシングするICE条件、肩関節の軽運動をするLSE条件、座位安静のCON条件をランダマイズに実施した。測定項目は肩関節回旋可動域、肩関節回旋筋力、血中クレアチンキナーゼ(以下CK)、主観的な筋肉痛とした。投球パフォーマンスでは投球速度と主観的な投球満足度とした。 肩関節回旋可動域、肩関節回旋筋力と投球パフォーマンスの結果は条件間および条件内において有意な変化はみられなかった。CKは各条件内での比較において投球前に比べると有意な増加がみられたが、成人男性の基準値内におさまっていた。さらに、主観的な筋肉痛及び筋の張りは、肩関節周囲は24時間後においてCON条件よりもICE条件の方が有意に低値を示した. 以上のことから、普段から同程度の投球数を投げている投手であれば、投球後のアイシングの実施の有無に関わらず、可動域や筋力の低下が生じることなく、CK活性値は成人男性の基準値内におさまることが明らかとなり、投球後に筋損傷は起こっていないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は野球投手における投球後に実施する肩関節へのアイシングの有用性について検証するものである。現在、普段から投球している大学投手を対象にした検証実験を実施することができ、これまで明らかとなっていなかった投球後における筋損傷の実態を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は普段から投球していない野球選手を対象に投球後に実施する肩関節のアイシングが、その後の生体反応と投球パフォーマンスに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした実験を実施する。なお、実験デザインは2021年度に準じて実施し、対象者が違った場合での生体反応と投球パフォーマンスについて検証する。 最終的には2021年度と今後の実験結果を基に、投球後に実施する肩関節周囲へのアイシングの有無について検討し、論文執筆する。
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Causes of Carryover |
前年度予定していた学会参加への参加がなくなったこと、採血委託費が予定よりも削減できたこと、購入予定物品が当初よりみ安価に住んだことが理由として挙げられる。 使用計画としては、学会参加、追加実験における謝礼および血液委託費、施設使用料として使用する。
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