2023 Fiscal Year Annual Research Report
野球投手における繰り返しの投球後からの身体反応と運動機能
Project/Area Number |
21K11340
|
Research Institution | International Budo University |
Principal Investigator |
笠原 政志 国際武道大学, 体育学部, 教授 (10535496)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | アイシング / 野球 / クーリングダウン / 肩関節 / 投手 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、普段から投球をしている野球投手を対象に、投球後に生じる身体反応および運動機能の実態を明らかにする研究を行い、野球投手における投球後の肩関節周囲へのアイシング実施の必要性があるかどうかを示す科学的根拠について明らかにすることを目的とした。 2022年度はこれまでの研究成果を日本アスレティックトレーニング学会誌に論文投稿しアクセプトされた「野球投手の投球後に実施する肩周囲へのアイシングや軽運動が投球パフォーマンスおよび肩関節可動域と肩関節周囲筋力に与える影響」。また研究成果を広く野球現場へ還元するために「コンディショニングセミナー」を開催し、高校生から大学生に向けて研究成果を踏まえた野球投手における投球後のアイシングに関するレクチャーを実施した。 研究期間全体を通しては、普段から投球をしている野球投手を対象に投球後に実施する各種クーリングダウンがパフォーマンスおよび肩周囲の可動域と筋力に及ぼす影響について検証するための実験を実施した。結果としては仮説通りに普段から投球を実施している投手においてはアイシング、軽運動、安静の条件間において投球パフォーマンス、肩関節可動域と肩関節周囲筋力に有意な差は認められないことを確認した。また、条件内においても肩関節可動域と肩関節周囲筋力に有意な差が認められず、生化学検査においては3条件ともに有意な上昇はみられるものの、生化学検査の基準値内であり、炎症反応がある閾値までには達していなかった。すなわち、普段から投球を繰り返している投手の場合、普段と同程度の強度の投球数であれば、肩周囲への過度な炎症は発生しておらず、肩周囲へのアイシングの実施が炎症反応を抑制するとは限らないことが明らかとなった。
|