2022 Fiscal Year Research-status Report
Factors influencing plasma homocysteine levels for the prevention of stress fractures in female athletes
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21K11347
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
峰松 明也子 金城学院大学, 生活環境学部, 助教 (40712998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 昌子 (挾間昌子) 東洋大学, 食環境科学部, 准教授 (40442058)
矢野 友啓 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50239828)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 疲労骨折 / 女性アスリート / 血漿Hcy濃度 / 一過性運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、令和3年度に引き続き、疲労骨折リスクの高い女性長距離陸上選手において、食事条件を一致させ、一過性の持久性運動を制限する「運動制限期」と運動を実施する「運動実施期」の2条件で血漿Hcy濃度の変化を調査した。 各被験者および全被験者の平均において、「運動制限期」の血漿Hcy濃度は、「運動実施期」よりも有意に低値を示した。結論として、女性長距離陸上選手において、食事条件を一致させたとき、一過性の持久性運動の実施は、翌日の空腹時血漿Hcy濃度を上昇させることが明らかとなった。また、メカニズムについても先行研究と比較検討した。運動の実施に伴う”エネルギー産生の高まり”、”筋肉中のクレアチン合成の高まり”が生じる。このクレアチン合成のためにS-アデノシルメチオニンが消費されS-アデノシルホモシステインの生成が増加し、その後Hcyが生成されることにより濃度の上昇をもたらす。また、運動中のTCA回路およびアミノ酸代謝の活性化により葉酸やビタミンB群の必要量が増加する。そのため、Hcy代謝に利用できるビタミンB群が不足してしまいHcy濃度の上昇をもたらすことが考えられた。研究成果は、論文として発表済みである。 血中Hcy濃度に対する食事や運動の影響に焦点を当てている研究は多数ある者の、結果に一貫性がない。本研究では、被験者は寮生活を送るアスリートに限定し、食事条件および実施運動が明確になっている条件下において血漿Hcy濃度の変動を追跡した。これが本研究の強みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究全体として、女性アスリートの疲労骨折予防の方法として個人の生活および遺伝子型に対応したテーラーメイド栄養指導の実現を目指すために、1つ目が昨年度と今年度実施した、「安静時、運動負荷時の血中Hcy濃度の変動調査」である。2つ目は、「MTHFR遺伝子変異の有無別でのメタボローム解析によるプロファイル比較」である。 令和4年度は、令和3年度から引き続いて「安静時、運動負荷時の血中Hcy濃度の変動調査」を行い、研究成果を論文として発表することが出来た。また、「MTHFR遺伝子変異の有無別でのメタボローム解析によるプロファイル比較」において、同意をいただいた対象者において、MTHFRの遺伝子変異の有無で分類を行い、一過性運動の前後における血漿サンプルの確保・分析を行うことが出来ているため、(2)おおむね順調に進展している、を選択するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、研究計画にある2つ目の「MTHFR遺伝子変異の有無別でのメタボローム解析によるプロファイル比較」について、食事と運動の条件を整えたうえで、早朝空腹時に血漿サンプルの収集を継続して行い、分析結果から成果発表できるよう進める予定である。血漿の分析は、研究室内において血漿Hcyおよび酸化アルブミン値を行う。また、メタボローム解析については、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社へ依頼する。そして、日々の生活の中で摂取した食事内容および摂取時刻による「食事記録」、走行距離と心拍数からなる「運動記録」を確保する。さらに、交絡因子としての影響を除外するため、サプリメントや医薬品の摂取状況についても記録を確保する。 本研究を実施するにあたり、ヒト介入試験に関しては既にいくつかの女性長距離陸上選手が所属する施設とは本研究の趣旨を説明し、協力に同意をいただいており、一部の施設に関しては予備的研究を実施している。また、本研究を遂行するに必要な実験設備や機器は全て、申請者が所属していた研究室施設に揃っており、日常的に稼動している。
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Causes of Carryover |
令和4年度において、計画していた「人件費・謝金」について、申請者が所属していた研究施設および女性長距離陸上選手が所属する施設の協力により、執行がなされていない。また、食事調査票においても研究施設の協力により、執行がなされていない状況である。さらに、「国内旅費」として計上していた予算についても、研究施設の協力によって、血漿サンプルの分析が申請者と同時並行で実施されており、計画よりも少ない執行となっている。 令和5年度では、「MTHFR遺伝子変異の有無別でのメタボローム解析によるプロファイル比較」のための継続した血漿サンプルの分析、調査に必要な試薬および消耗品について予算の執行を行う予定である。さらに、被験者のMTHFRの遺伝子変異別プロファイルの比較を行うため、血漿サンプルの網羅解析としてのメタボローム解析を業者委託する予定である。
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Research Products
(3 results)