2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K11349
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
谷村 祐子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学・研究部, 研究員 (90551458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 匡隆 愛知東邦大学, 人間健康学部, 准教授 (80588096)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 身体活動量 / 運動トレーニング / 腸内細菌叢 / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、個々のもつ腸内細菌叢の違いに着目し、そのことが運動や身体活動量の増加で得られる身体機能の向上の効率に関与しているかを検討することを目的とした。腸の多様性(α多様性:菌種の豊富さや均等度)は腸内細菌叢の特性を表す指標の一つである。これまでの研究では多様性が高いことが健康であるとされていることが多い。また、ある横断研究ではVO2peakは多様性の20%程度を説明するとされている。 今年度は、昨年度までに得た腸内細菌叢データを用いて体力要素の変化が腸内細菌叢と関係があるかについて検討した。運動前後の比較は正規性を確認し、一般線形混合モデルを用いて検討を行った。本研究のトレーニングは体重を有意に減少させ、新体力テストのうち握力・上体起こし・反復横跳び・立ち幅跳び、およびVO2peak、最高心拍数を有意に増加が認められた。Chao1(菌種数の推定値)指数はトレーニング後で有意な増加が認められた。一方で、菌構成のβ多様性、短鎖脂肪酸、Shannon(菌種均等度)指数は有意な差異が認められなかった。機能予測におけるJaccard距離を用いたβ多様性はトレーニング前後で有意な差が認められた。 VO2peakの増加の違いとα多様性に関係が認められるかを検討するためにトレーニング前後のVO2peakの変化量の中央値を基準に2群[H群(変化量が大きい群)とL群(変化量が小さい群)]に分けた。両群のChao1指数の変化に有意な差はなかった。L群の事前測定のVO2peakとChao1指数はH群よりも有意に高値だった。△VO2peakとΔChao1指数はL群でのみ有意な正の相関関係が見られた。 以上のことから、持久性運動トレーニングは体力要素を向上させ、菌種数の推定値を有意に増大させた。また、L群は事前測定の最高酸素摂取量とα多様性は高く、酸素摂取量とChao1に正相関が認められた。
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