2023 Fiscal Year Research-status Report
運動刺激により「経口免疫療法」による食物アレルギー寛解効果を最大化させる試み
Project/Area Number |
21K11352
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Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
椎葉 大輔 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 准教授 (20515233)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 経口免疫療法 / 運動 / 食物アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
経口免疫療法(OIT)は食物アレルギーを寛解へと導く治療法として期待されているが,その過程において副反応が引き起こされる可能性など安全性に問題を有することが指摘されており,「広く使用される治療法」に向けた課題は未だ克服されていない。本研究では,より安全で効果的なOIT法の確立に寄与する「OIT促進刺激」としての「運動」の可能性について,検討を行っている。本年度は既に確立しているアレルゲン感作後に自発運動を実施させるモデルを用いて,OITおよび運動の影響について,OITで使用するアレルゲン(オボアルブミン,OVA)濃度の影響を観察した。まず昨年度の検討でOIT効果を示した最低濃度(1mg/mouse)より低い濃度でOITを単独実施し,全身性アレルギー症状の結果からOIT効果の消失を確認した。このモデルに対して,運動を実施させることにより運動によるOIT増幅効果を検討したが,OIT+運動負荷マウスにおいても全身性アレルギー症状の軽減は見られず,運動負荷のOIT増幅効果は観察されなかった。このことは,昨年度の結果から運動によるOIT促進効果は期待出来るものの,運動を活用してもOITに用いるアレルゲン用量を大幅に低減することは難しい可能性を示唆するものであった。最終年度はOIT+運動の効果が観察された条件の再現性を改めて評価するとともに,その際の生体内免疫細胞動態を分析・評価することで,そのメカニズムについて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
OITおよび運動の効果の評価については予定通り検討を進めている。遅れている点はOIT及び運動を実施したマウスにおける生体内免疫細胞動体の分析であり,予定年度で完了できなかった。そこで課題期間延長申請を行い,当該年度で研究完了させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
OITおよび運動の効果の検討・評価を完了させ,それら条件における生体内免疫細胞動体の分析・評価を行う予定である。分析・評価はフローサイトメトリー法および組織免疫染色法によって行う。以上を完了させることで,経口免疫療法に対する運動の効果の一端が明らかになるものと期待出来る。
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Causes of Carryover |
生体内免疫細胞の分析・評価が実施できず,その実験に用いる抗体など試薬の購入を行わなかったため,その分を差額が生じた。本課題は1年の期間延長が認められており,前述の実験を延長年度で行う予定のため,本差額は当初予定していた購入試薬の費用に充てる予定である。
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