2021 Fiscal Year Research-status Report
競技カテゴリ間でのバットの慣性モーメントの違いが野球打撃に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
21K11355
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
樋口 貴俊 福岡工業大学, その他部局等, 准教授 (60726826)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 野球 / バッティング / 競技レベル |
Outline of Annual Research Achievements |
バットの慣性モーメントは質量と回転半径で規定され,バットの振り難さを表す.そのバットの慣性モーメントは,打撃の正確性やバット速度,打球速度とトレードオフの関係にあり,打撃結果を左右する要素の一つと言える.進学等に伴い競技カテゴリが変わる際には,新しい規格のバットとその慣性モーメントへの順応が打者の課題となり,バットの違いによるパフォーマンス低迷が競技離脱や競技キャリアにおけるピークパフォーマンスの低下といった問題を引き起こす可能性がある.本研究では,各競技カテゴリ間のバットの慣性モーメントの違いを調査し,児童期~青年期の打者を対象に,慣性モーメントの異なるバットでの打撃パフォーマンスを比較する.そして,各競技カテゴリ間でのバットの慣性モーメントの違いが打撃時のバット速度や正確さにどの程度影響するのか?という学術的「問い」の解明に取り組み,競技カテゴリ間でのバットの違いによる打撃パフォーマンス低迷の防止への一助とする.本研究の目的は,これまで打者の感覚(振り易さ)で評価されてきた慣性モーメントとパフォーマンスの関係の科学的エビデンスを示すことで,慣性モーメントを考慮したバットの選定とカテゴリ進行に伴うバットの変化への準備を促し,バットの違いが引き起こすパフォーマンス低迷を防止することである.この課題に対し,申請者が確立してきた野球打撃の正確さとバット速度の解析方法を用いて,慣性モーメントが児童期~青年期の幅広い選手層の打撃パフォーマンスに及ぼす影響の詳細について明らかにする点に本研究の学術的独自性があると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、当初計画していた通り、小学生・中学生が使用する軟式用バットと,小学生・中学生・高校生・大学生が使用する硬式用バットについて,主要メーカー5社の各競技カテゴリのバット数本ずつを対象として慣性モーメントの計測を実施することができた.また,2022年度の野球打者のパフォーマンス測定に向けても,実験協力可能なチームおよび個人を確保することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
まず競技カテゴリ変更前の打者として小学6年生,中学3年生,高校3年生の野球選手各15名程度を対象に測定を行う.そして実験参加者がそれぞれ中学1年生,高校1年生,大学1年生になった1年後に,競技カテゴリ変更後の打者として再度測定を行う.各年代において慣性モーメントの違いが及ぼす即時的な影響と,新しい競技カテゴリのバット使用経験によるスイングの変化を縦断的に調べる.
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Causes of Carryover |
学会のオンライン参加に伴い、当初予定していた学会参加のための交通費が不要となった。また、購入する高速度カメラについての選定作業を行った結果、国内メーカーのより安価な製品を入手することができたため。
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