2021 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病が骨格筋の易疲労性を引き起こす血管内皮依存性メカニズムの解明
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21K11358
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
曽野部 崇 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70548289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Pearson James 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (30261390)
土持 裕胤 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (60379948)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 易疲労性 / 微小血管造影 / 超音波血流測定 / KCaチャネル / EDH |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,糖尿病においては,なぜ骨格筋疲労が生じやすいのかという問いに対し,筋収縮という刺激に対する血管・血流応答の変化に着目して明らかにすることを目的としている.我々がこれまでに確立した小動物に対してX線血管造影を用いるin vivo機能的血管イメージング技術により,下肢血管を導管血管から抵抗血管までをまるごと可視化・評価することで,様々な血管カテゴリにおける応答の違いや,それに寄与する因子の影響を調べている. 本年度は正常ラットを対象として,坐骨神経刺激による下肢骨格筋収縮時の筋発揮張力についてフォーストランスデューサーを用いて測定し,in vivoの機能的血管イメージングおよび下肢血流測定との同時測定を試みた.麻酔・呼吸管理下のWistar系オスラットの足底部をフォーストランスデューサーに固定し,坐骨神経を介した電気刺激により下肢骨格筋を収縮させた.刺激周波数40Hzの強縮を60秒間持続し,刺激終了後に血管造影による画像取得を行った.このときの筋発揮張力・血圧・大腿動脈血流を同時に記録した.また,刺激頻度を3秒に1回,計20回(60秒間)行うリズミックな収縮に変更し,同様に実験を行い,筋収縮様式の違いで生じる筋仕事量と血管・血流応答について明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通り,新たに導入したフォーストランスデューサーをX線撮影装置内に設置し,これまでに行ってきた血管造影・血流測定・血圧測定に加えて,骨格筋収縮時の張力測定を同時に行う実験系を構築することができた.さらには次年度に計画している阻害薬や作動薬を用いた実験のための投与量・投与経路などについても予備検討を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
神経刺激を介した筋収縮時の筋仕事量と血管・血流応答が糖尿病の病態下ではどのように変化しているのか,また,違いがあった場合その変化と内皮由来過分極(EDH)とがどのように関係しているかについて,特にKCaチャネルの寄与に着目して研究を行う.糖尿病モデルラットを対象として本年度に確立した実験を行い,さらにはKCaチャネル阻害薬などの静脈内投与前後にて実験を行うことで,その寄与を明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
当初計画で計上していたフォーストランスデューサーと,既存のADコンバータとの接続のために専用ブリッジアンプを新規購入したため,当初計画していた画像解析用PCの購入を見送り,次年度使用額が生じた.次年度の研究計画として,阻害薬などを用いた生理学的実験を含め,生化学的実験も予定しているため,試薬・消耗品の購入などに充当する.
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