2022 Fiscal Year Research-status Report
車いすバスケットボールにおける客観的クラス分けのための座位バランス評価指標の開発
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21K11363
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
橘 香織 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80453025)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 車いすバスケットボール / クラス分け / 運動範囲 / 定量化 / 三次元動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】車いすバスケットボール選手の”運動範囲”を定量化すること。 【対象】日本車いすバスケットボール連盟に選手登録している選手のうち、J公認(日本選手権出場経験があり、国内でのクラスが確定している選手)および選手として車いすバスケットボール競技に参加している健常者、各25名を対象とする。 【方法】競技用車いすおよびトレーナーベッド上端座位の2条件で、①30秒間の静的座位保持②動的座位バランス課題(前・後・左・右の各方向において、両手で持ったボールを下方から頭上まで動かし、最大限の範囲に達したら2秒保持した後、元の位置に向けてボールを下方へ動かす)を実施した際の動作を4台のカメラを用いて撮影し(120fps)、三次元ビデオ動作解析システムFrame-DIAS Ⅵを用いて各動作実施中のマーカー位置をデジタイズし、三次元DLT法を用いて身体基準点とボールの中心点の位置座標を抽出した。同時に座圧分布計を用いて座圧中心位置の移動距離も測定した。 デジタイズした座標を元に、基準座標からボールへ向かう二次元ベクトルを計算し、前後方向は矢状面内で、左右方向は前額面内及び水平面内で、各ベクトルの大きさとベクトルが移動する可動域範囲を算出した。 【結果と考察】①同じ動的座位バランス課題を行った場合、本人用の競技用車いすを用いた時よりもトレーナーベッド上端座位で行ったほうが運動範囲は狭小化し、かつクラス間の運動範囲の広がりの差は明確になった。②特にローポインター(1.0/1.5)はトレーナーベッド上での測定時は、運動範囲の狭小化だけではなく、抗重力方向へのボールの持ち上げと従重力方向へボールを下す際に運動範囲に違いが出る特徴が明らかとなった。③今回新しく国際クラス分けルールに加わった競技特異的スキルテスト(椅子またはトレーナーベッド端座位で行うもの)はクラス分けの判定に有用であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としている被験者数の6割の測定が終わり、順次データ処理と解析を進めている。また、これまでは二次元ベクトルを算出して二次元平面内でのベクトルの大きさの変化ならびに角度変化を算出していたが、現在はデジタイズにて得られたマーカーの座標点から動作曲線(ボールの移動する軌跡の近似曲線)を数値計算で算出し、曲線内の面積を計算することで”運動範囲”を定量的に評価する方法を検討している。
なお、令和4年度はデータ数がまだ十分でなく本研究テーマに関しては論文等の形で発表することができなかったが、車いすバスケットボール選手のスポーツ障害予防のための手関節不安定性評価に関する研究や、新型コロナウイルス感染症による活動制限が女子車いすバスケットボール選手の体組成変化に及ぼした影響を後方視的に検討した研究の成果を論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
①矢状面、前額面及び水平面(座位での体幹回旋運動)における運動範囲を加えた計測を行っているので、データ量は多いが着実に解析作業を進めていく。 ②国内大会での健常者のクラスの割り当てについてはまだ一定の見解が出ていない。本研究にて比較的障害が軽い選手と健常者の比較を行うことが一つのエビデンスの提供につながると思われるが、キネマティクス的な運動範囲の計測と合わせてどのくらいの荷重を座面や足部に加えているかを測定し、片側切断者と健常者の比較などを行う必要がある。 ③「運動範囲」というボールの軌跡のみならず、その際の体幹の代償的な動きやボールの動きの滑らかさ、などクラスの判定に有用な手掛かりを明確にしていきたい。Multibody Dynamicsの手法を学び、活用できないか検討を進めている。 ④結果の信頼性を高めるために、より多くのデータ(できれば全国の選手)を集める必要があるため、最終年度も引き続きデータ収集をできる限り進めていく。 ⑤研究成果を学会発表及び論文発表にて公表していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により全国へ出張してのデータサンプリングが十分に行えず、令和4年度も人数制限や移動制限を伴いながらの測定を行ったため、旅費や被験者への謝金が予定額を下回った。 また、データ数が揃わず研究成果の発表を行うことができなかったため、学会発表のための旅費や論文発表に関わる予算の執行ができず、残額が生じた。 次年度はデータサンプリングにかかる経費の執行とともに、学会発表や論文発表に必要な経費を使用していく予定である。
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