2023 Fiscal Year Research-status Report
運動誘発性腸管粘膜傷害に対する酸化ストレス制御を介したスダチチンの予防効果
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21K11366
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
伊東 順太 城西大学, 薬学部, 助教 (40609096)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 運動誘発性腸管粘膜傷害 / 運動誘発性胃腸障害 / スダチチン / タイトジャンクション / 小腸粘膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
長距離走選手の消化管は、しばし運動による消化管低灌流および虚血に起因した過剰な活性酸素種(ROS)に曝される。この過剰なROSの制御を目的とした運動誘発性胃腸障害の予防法および緩和法は未だ確立されておらず、とりわけ腸管粘膜上皮の損傷に対する天然由来抗酸化物質の効果に関する知見は十分ではない。申請者は、有益な生理活性を示す物質として近年注目されているポリメトキシフラボノイド(PMF)に着眼し研究を重ね、日本原産香酸柑橘類のスダチの果皮に特有のPMFであるスダチチンの局所投与がROSを除去し、炎症性骨破壊を抑制する作用があることを明らかにした。本研究は、スダチ果皮特有PMFであるスダチチンを用いた運動誘発性胃腸障害の発症プロセスを合目的に制御できる新しい予防法の基盤を確立し、栄養科学的アプローチ法について提案することを目指すことを目的として立案した。 本年度の成果として、高強度ランニング負荷による運動誘発性胃腸障害動物モデルマウスの作成法を確立した。また,小腸粘膜における組織学的評価を行い、高強度運動による小腸粘膜の萎縮が起きていることを確認した。さらに,スダチチンの経口投与によって高強度運動による小腸粘膜萎縮を軽減することを明らかにした。今後は,小腸粘膜上皮の損傷に関わるメカニズムとして、腸管粘膜上皮細胞間のタイトジャンクションの崩壊が示唆されていることから、タイトジャンクション関連タンパク質の動態にも着目し、研究を進め、当初の研究目的である運動誘発性胃腸障害モデルマウスの小腸粘膜上皮損傷に対する経口スダチチン投与による抑制効果の検証とそのメカニズムの解明が達成されるよう実施に努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
22年度に生じた研究室のエアコン故障による研究の遅れを取り戻したが,当初の進捗予定よりはやや遅れている。研究室環境が正常に戻ってからは順調に実施できているので、次年度は研究計画を完遂できるよう努める。
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Strategy for Future Research Activity |
研究室環境の整備による研究実施計画の遅延が生じたが、今後の研究は順調に遂行できると考えている。当初の研究実施計画に記載している事項が完遂できるよう進める。
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Causes of Carryover |
22年度に生じた研究室のエアコン故障による研究の遅れを取り戻したが,当初の進捗予定よりはやや遅れているため次年度使用額が生じた。研究室環境が正常に戻ってからは順調に実施できているので、次年度は必要な物品の購入に予算を使用し,研究計画の完遂に努める。
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