2022 Fiscal Year Research-status Report
訪日外国人が見た近世日本のスポーツ ―幕末~明治初期の見聞録を中心に―
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21K11374
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
谷釜 尋徳 東洋大学, 法学部, 教授 (40527933)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オールコック / 打毬 / 勧進相撲 / 曲独楽 / 歌舞伎 / 旅 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年度に続いて幕末~明治初期の訪日外国人が残した見聞録の収集を行い、スポーツ関連の記述が豊富な見聞録を史料として、過去の再構成を試みた。 安政6(1859)年に来日した初代英国公使のラザフォード・オールコックの見聞録“The capital of the tycoon”を通して、幕末期における日本のスポーツの実像を考察した。 史料を分析したところ、オールコックは、打毬に勤しむ江戸の武士、回向院の勧進相撲、アメリカ公使の邸宅の曲独楽、旅行中の大坂の歌舞伎を観察したことがわかった。その卓越した眼差しは、各種スポーツのルールや技術、観客を楽しませる仕掛けに至るまで、かなり正確に捉えていた。 また、訪日外国人の見聞録を通して、近世日本の旅文化を考察した。訪日外国人は、日本という異文化世界を驚きの目をもって観察し、街道の安全性と貧困な旅行者への施行行為、街道の設備や道普請、街道筋の茶屋の実際、旅の難所としての関所と大河の通行方法など、事細かに描写していた。日本人にとっては自明の事柄として見過ごされがちな街道筋の事物も、外国人にとっては興味の的となった。日本の旅人の服装を分析した者もいたし、さらには日本人旅行者の時間観念を気に留めた者までいた。 これまでの研究により、訪日外国人の見聞録には、実体験に基づく情報が高い精度で記録され、近世の日本人が生き生きとスポーツを楽しむ姿を今日に伝える価値ある史料群であることが再確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、幕末~明治初期の訪日外国人の見聞録を多数収集することができた。 また、集まった見聞録を分析し、さまざまな種類のスポーツを取り上げた研究成果をまとめることもできたので、本研究は順調に進展しているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2023年度は、史料の収集および分析作業を継続しつつも、総仕上げとして、れまでの研究成果を整理し、学会等での発表や、学術誌への投稿を行う予定である。
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