2021 Fiscal Year Research-status Report
形態的・機能的特徴からひも解く高齢者の骨格筋調整機序の確立:健康長寿社会に向けて
Project/Area Number |
21K11383
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
佐野 加奈絵 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (30762273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 昌紀 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (20513881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 加齢 / 高齢者 / マスターズアスリート / SSC / 運動効率 / 弾性エネルギー / 呼吸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋による身体運動中の爆発的なパワー発揮や高い運動効率には接地時の衝撃を弾性エネルギーとして利用する筋腱相互作用が重要な役割を果たすことが提唱されているが、サルコペニアや腱の材質低下が起こる高齢者の骨格筋調整機序は未だ解明されていない。また、近年では加齢により筋内脂肪が蓄積し、これが神経筋機能にも悪影響を及ぼす可能性が示唆されており、さまざまな身体活動レベルの高齢者特有の骨格筋調整機序と形態的特徴との関連およびさまざまな筋内脂肪レベルにおける対象者の調査より、筋内脂肪蓄積に伴う神経-筋機能への影響について明らかにすることが求められている。本研究では、様々な身体活動レベルの高齢者における筋・腱や軟部組織の形態的特徴と、歩く・走る・跳ぶといったロコモーションやダイナミックな身体運動中の筋活動と筋腱動態、キネティクスや動作特性の調査から、これまでに高齢者でみられるとされてきた筋の特異的なふるまいや活動が、加齢に関係して起こるものなのか、それとも身体活動レベルの違いが生み出す形態的変化に伴う特徴なのかを明らかにする。また合わせて、筋内脂肪蓄積が筋腱動態に及ぼす影響についても調査を進める。 本プロジェクト1年目となる2021年度は、高齢者の対象群となる若年者を対象とした身体運動中の走運動効率の測定や、マスターズ陸上競技アスリートとして大会に出場するこ30-90歳の測定対象者における膝軟骨厚の変化に関する論文を執筆した。その他、マスターズ陸上競技の過去データからその競技力に関係する地域特性や、Covid-19の自粛による影響がマスターズアスリートの記録に及ぼす可能性についての調査も始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19の影響を受け、測定対象者としたい身体活動レベルの高齢者の測定を控えたことで当初の測定予定より遅れている。しかしながら、申請時点からこれらの可能性を踏まえたゆとりをもったスケジュールにしており、大きな問題とはならない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている高齢者における運動習慣と筋腱形態に及ぼす影響については、Covid-19の影響も鑑み、可能となれば測定対象者の測定を実施し、同時に、マスターズアスリートにおける過去20年分のデータ調査も進める。比較対象となる若年者群の測定についても追加で進めていく。また、健康な膝軟骨への運動が及ぼす影響調査については、論文にまとめ、さらなる知見を得るため新たな手法を利用した追加測定も行っていく予定をしている。夏や秋の一般イベントも利用しながら、進めていきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた測定対象者の予定数よりも少なくなり、必要な消耗品の購入が少なかったため未使用額が生じた。次年度は研究協力者の協力を仰ぎながら2021年度に予定していた、多くの測定対象者における筋腱動態・筋活動と力発揮測定などを実施していく予定をしている。そのため、消耗品も2021年度以上に必要となることから、それらの費用にあてたいと考えている。
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