2022 Fiscal Year Research-status Report
高酸素暴露刺激は運動性の記憶・学習機能向上効果を模倣する
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21K11388
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉里 秀雄 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40303721)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高酸素 / 記憶関連因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる濃度(20.8%、30%及び100%酸素)の短期的な酸素刺激に対する脳内の記憶関連因子(BDNF、IGF-I)とアポトーシス関連因子(Bax, Bcl-2, OGG1)の遺伝子発現の変化及び記憶能に対する効果について検討した。 8週齢のICRマウス(雄)を用いて、20.8%酸素(通常空気濃度;コントロール)、30%酸素または100%酸素を21x21x19cmのアクリルチャンバー内に5L/minの流量で灌流させ、刺激を行った。これを30分/日、学習・記憶テスト(モリス水迷路による学習・記憶テスト)の 30 分前に 30 分間行った。この学習 4 試行/日、4 日間実施した。学習の48時間後、記憶テストを行い、終了後30分以内にそれぞれ脳を摘出し、皮質、海馬を分画し-80℃で保存した。得られた海馬と皮質組織からTotal RNAを抽出し、RT-qPCRを行い、BDNF、IGF-I mRNAの相対的発現量を定量化した。 今回、高酸素刺激に対する初期段階の応答を調べたが、モリスの水迷路実験からは 100%の 酸素刺激をすると記憶能力が向上する結果が得られた。しかし記憶関連遺伝子である BDNF や IGF- 1、OGG1 は記憶が向上するような結果は出なかった。酸素刺激に対する遺伝子発現の応答性、他の 記憶関連遺伝子の影響などが考えられるため更なる調査が必要である。アポトーシスの抑制は記憶 能力向上に関連する傾向が見られた。関連は見えたが酸素刺激が本当に関与しているのか、アポトー シス抑制が記憶能力を向上させるメカニズムはまだ推測段階であるので、活性酸素レベルの測定や 活性酸素を産生させないような条件などでの実験が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の課題による成果として、2週間の高酸素刺激により運動刺激性の脳内記憶関連物質(BDNFやIGF-I)増加と類似した反応が得られることを示唆する結果を得ることができた。2022年度はこの変化について、より短期的な反応と記憶能の変化について新しい知見が成果として得られた。またモリス水迷路テストによる学習・記憶能の評価方法を確立することが出来た。計画通りに進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
短期及び長期刺激の実験により脳内の物質的変化を経時的に捉えることが出来た。長期的な刺激での、分子機能と行動機能(記憶・学習機能)の関係について観察ができていないので。これを行う。これにより当初の計画が全て完了することができる。
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Causes of Carryover |
学会発表に関わる旅費が少額だったため。今年度の旅費に使用予定とする
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Research Products
(1 results)