2023 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of MAPK on the plasticity of skeletal muscle fibers
Project/Area Number |
21K11391
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大石 康晴 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (10203704)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Wistar ラット / マップキナーゼ / Hsp72 / ヒラメ筋 / 足底筋 / 筋活動量 / 後肢懸垂 / トレッドミルランニング |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は2種類の実験を実施し、そのうちの熱ストレス実験では8週齢のWistar系雄ラットに1日おきに42℃で25~30分間の熱ストレスを5回負荷した。熱ストレスタンパク質Hsp72タンパク質発現量はラットヒラメ筋で増加傾向、足底筋では有意な増加が認められた。一方、マップキナーゼタンパク質(ERK1/2. p38MAPK) のリン酸化には全く変化がみられず、熱ストレスに対して非応答性のタンパク質であることが確認され、本結果は論文として報告した (Oishi et al., Bull. Fac. Educ. Kumamoto Univ., 71: 183-187, 2022)。 令和4年度はWistar系雄ラットにスプリント走、および持久走トレーニングを負荷し、ヒラメ筋と足底筋の応答について検討した。筋線維組成に関しては両筋ともに顕著な変化は認められなかった。スプリント走群のヒラメ筋と足底筋、ならびに持久走群の足底筋でHsp72タンパク質発現が有意に増加した。MAPKタンパク質リン酸化に関しては、スプリント群ヒラメ筋のみにp38MAPK-リン酸化タンパク質の発現増加が認められ、筋活動量の増加を伴うランニングトレーニングに対して、MAPK-リン酸化タンパク質は応答しにくい傾向にあることが明らかとなった。 令和5年度は筋活動の減少モデルとしてラットの後肢を11日間中空に浮かせる後肢懸垂実験を行い、ヒラメ筋について分析した結果、筋重量の有意な低下、遅筋線維の割合の有意な減少、遅筋+速筋混在型ハイブリッド線維の有意な増加がみられた。同時に、リン酸化ERK1/2およびリン酸化p38タンパク質発現量の有意な増加が認められた。これらの結果は、MAPK-リン酸化タンパク質発現が、筋の不活動に対して顕著な応答を示し、筋線維タイプ変化をもたらす要因であることが示唆された。
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