2021 Fiscal Year Research-status Report
スマートフォンで超速球を見るトレーニングが打撃パフォーマンスに及ぼす効果
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21K11392
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
前田 明 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (40264543)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スマートフォン / 野球打撃 / 見るトレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,映像を用いた変化球を見るトレーニングが打撃パフォーマンスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 実験対象者は,大学硬式野球部に所属する12名(年齢:19.3±0.8歳,身長:173.3±6.2cm,体重:74.4±8.0kg)であった. スマートフォンを用いて実際に投手が投じる変化球(右スライダー,120km/h)をバッター目線から撮影し,その映像をスマートフォンやタブレットを用いて,1回30球(15球×2セット)週4日,4週間行う.今回撮影に用いたスマートフォンはiPhone XSを使用し純正のカメラ(1200万画素)のビデオ機能を用いて撮影した.右打者には右打者目線から撮影した映像にてトレーニング実験を行い,左打者にはその逆とした.トレーニングで映像を見る際は,実際に打席で打撃するようにタイミングを図りながら見るように教示した.本実験はPre測定を行い4週間のトレーニング期間を経てPost測定を行った.測定は,鹿屋体育大学スポーツパフォーマンス研究センターにて,以下に示す打撃パフォーマンステストとした. その結果,以下のような特徴が見られた.1.映像を打者目線から見るトレーニングにより,スイートスポットからボール中心までの距離に変化は見られなかった.2.映像を打者目線から見るトレーニングにより,スイートエリアで捉えた回数に変化は見られなかった.3.打者目線からの映像だと,はっきりと変化球の軌道が見えづらい. 課題として,打者目線では軌道が見えづらく,イメージが掴みにくいという課題がわかった.キャッチャー目線から撮影することにより,変化球の軌道が見えやすくなり,打者目線よりもイメージしやすいのではないかと考える.そこで追加実験を行うこととした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、一年目はカメラのセッティングをどこにして、どの視点での映像が望ましいかを検討することが目標であった。これまでの研究で、打者目線での映像を元にトレーニング実験を行うことができ、一定の成果は現れたが、カメラの場所を変更した方が、よりトレーニング効果が得られるのではないかということがわかった。 すでに他の位置(キャッチャー後方からの映像)の映像作りを始めており、計画よりやや早く進んでいると考えられる。次のステップとして、キャッチャー目線で超速球や変化球を見るトレーニング実験へと進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一実験により,打者目線からの映像では全体としての効果が得られなかった.内省報告では,「打者目線の映像では変化球の軌道が思っているほど見えなかった.」「キャッチャー目線や審判目線からの映像の方が変化球の軌道が見やすいのではないか.」との意見を頂いた.野球の練習時で,選手や指導者が投手の投球時の様子を見るときは,キャッチャー目線や審判目線などの後方側から見ることが多い.その理由として,後方からの方が、直球,変化球の曲がり幅や軌道が見やすいからという意見が多い.このことを考慮し第二実験では,キャッチャー目線からの映像を用いた変化球を見るトレーニングが打撃パフォーマンスに及ぼす影響を明らかにすることを目的として行うものとする. 実験対象者は,大学硬式野球部に所属する5~10名を予定している.実験に先立ち,実験対象者には研究の内容・目的・結果の秘匿・身体に及ぼすリスクについて十分な説明を行い,実験参加への同意を得る.また本研究は,鹿屋体育大学倫理審査小委員会の承認を受けて実施する.
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Causes of Carryover |
今年度は、コロナ禍の影響を受け、予定していた被検者の協力が十分に得られず、予定していた実験が一部できなかった。そのため次年度に行う実験があり、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、追加して行う実験に必要な被検者謝金等、またコロナ禍で参加できなかった学会に成果報告に行く旅費として使用する予定である。
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