2021 Fiscal Year Research-status Report
アスリートの疲労・傷害に対するマイクロバブル炭酸冷水浴の物理療法の確立
Project/Area Number |
21K11407
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
北條 達也 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40298740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 義之 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20265028)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 物理療法 / 冷水浴 / 炭酸ガス / 遠位潜時 / 末梢神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,アイシング後の末梢神経伝導速度の回復の状況を肘関節部における尺骨神経を対象に冷水浴とマイクロバブル冷炭酸水浴で比較した。 *対象および実験群:①被験者はBMIが25以下の健常な女子大学生6名(平均21.7±0.5歳)を対象とした。②実験群は1)冷水浴群:5℃の冷水に肘関節を浸漬して冷却した群と2)冷炭酸水浴群:溶存させ5℃にしたマイクロバブル 炭酸水に肘関節を浸漬して冷却した群 の2群を作成し、被験者6名に6時間以上の間隔を設けてクロスオーバー法によって評価した。 *評価方法:右肘関節を肘部管を十分冷水に漬けるため、肘関節軽度屈曲位で浸漬した。浸漬15分(W15)で冷却を終了し、肘を軽度屈曲位のまま30分間安静にさせた。評価する末梢神経は尺骨神経とし、冷却による神経伝導性の変化は肘部管より近位で尺骨神経を経皮的に刺激し、小指外転筋筋腹から導出される誘発電位が発現するまでの遠位潜時で評価した。2群とも冷却直前(Water Immersion 0min=WI0)から安静終了時(Rest 30min=R30)までの45分間に30秒毎に遠位潜時を測定した。皮膚温はWI0、WI15、R30時に測定した。 *結果(1)遠位潜時:WI1、WI4からWI8、WI10、R12からR30において冷炭酸水浴群が冷水浴群よりも有意に低値を示した(p<0.05)。(2)皮膚温:冷水浴群と冷炭酸水浴群のWI0、WI15、R30の皮膚温に有意差は認められなかった。 以上から、マイクロバブル冷炭酸水では血管拡張作用により血流が促進による遠位潜時回復促進効果の可能性が示された。このことからマイクロバブル冷炭酸水によるアイシングは、通常冷水浴に比べて運動再開による怪我のリスク低減や効果的な短時間のパフォーマンス回復に有用である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
局所の冷水浴である末梢神経回復効果の実験は予定通り順調に実施できたが、コロナ禍のため全身浴の実験が予定通り進捗せず(冷水浴のため夏季にしか実施できない制約もある)、予備実験レベルの結果までしか進んでいないため。 政府からの行動制限がかなり緩和されたことから、この状況が継続すれば、2022年度の夏季には本実験を実施できるものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、新型コロナ感染症の感染拡大状況が落ち着くことが夏季まで継続すれば、遅延している、全身浴の代謝抑制効果の検証を実施し、予定している疲労回復効果まで検討できるものと予想している。 また、創傷(肉離れ)治癒促進効果の検討も、スポーツ活動の制限がかからなければ、アスリートの協力も得やすいため、次年度にかけてのデータ収集を2022年度から開始できるものと考えている。
|
Causes of Carryover |
2021年度は全身浴による効果検証の実験に遅れが生じたため、被験者謝金および消耗品の使用にかかる経費に余剰が生じたため余剰を生じた。2022年度に同実験を実施するため、余剰分も含めて使用する予定である。
|